2022 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質シトルリン修飾の破綻が大腸がんの発生と進行に果たす役割の解明
Project/Area Number |
20K07560
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舟山 亮 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20452295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シトルリン化 / PADI2 / 大腸がん / 翻訳後修飾 / スプライシング / マイクロエクソン |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がんにおけるタンパク質シトルリン化酵素PADI2の役割をin vivoで調べるために、PADI2を発現する大腸がん細胞の腫瘍形成能を、免疫不全ヌードマウスを用いて解析した。その結果、移植した細胞はヌードマウスの皮下で腫瘍を形成するが、1)腫瘍内のPADI2発現細胞の多くが細胞死を起こしていること、2)腫瘍内で生存している細胞の大部分はPADI2の発現を失っていること、が明らかになった。このことから、PADI2は大腸がん細胞の腫瘍形成能を抑制しており、エピゲノムなどの機構によりPADI2の発現を失った細胞が出現して腫瘍を形成していると考えられた。また、PADI2の発現は培養環境下では大腸がん細胞の細胞死を引き起こさないことから、腫瘍環境下で観察されたPADI2発現細胞の細胞死は、免疫細胞や細胞外マトリクスなどの腫瘍微小環境との相互作用により誘導されていると考えられた。 大腸がん組織の遺伝子発現解析で明らかになった、ヒトゲノムの微小なエクソン(マイクロエクソン)の解析では、大腸正常組織と癌組織におけるマイクロエクソンのスプライシングプロファイルを明らかにして、がん組織でスプライシングが変化する「腫瘍特異的マイクロエクソン」を同定した。特に、focal adhesion kinase(FAK)遺伝子のマイクロエクソンに着目し、機能解析を行った。長さ9塩基、3アミノ酸をコードするこのマイクロエクソンは脊椎動物で高度に保存されているが、その機能は不明であった。そこで、FAK遺伝子をノックアウトした大腸がん細胞にFAK cDNAを再導入し、マイクロエクソンの有無に違いのある2つのFAK発現細胞を作製した。その結果、マイクロエクソンの取り込みはFAKの酵素活性を高めることが示唆された。
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Research Products
(2 results)