2021 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん幹細胞の可塑性における 抑制型Smadの機能解析
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20K07562
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤木 蓉子 (勝野蓉子) 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (70771004)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上皮間葉移行 / TGF-beta |
Outline of Annual Research Achievements |
強力な上皮間葉移行 (EMT) 誘導因子であるTGF-βは、がん細胞の可塑性を制御することでがん細胞の多様性や悪性化に重要な役割を持つ。我々は、これまでの研究で乳がん細胞においてTGF-βの刺激時間の差によって可逆的EMTから安定化EMTへとEMTの状態が変化し、それぞれのEMTの状態ががんの悪性化や転移の異なったステップに寄与することを明らかにしてきた。このモデルシステムを用いてTGF-βに誘導されるEMTの過程で起こる転写の調節の分子メカニズムを解析した。特に、Smad依存的な転写制御を調整し、転写の活性と抑制のバランスを決める分子メカニズムに関与すると考えられる、抑制型SmadであるSmad6とSmad7に着目し、その役割の解析を進めた。モデルシステムとした乳がん細胞において、Smad6やSmad7の発現量を変えることでTGF-βに誘導される多段階のEMTにおいて重要な遺伝子の発現が変化することを明らかにした。このことから、Smad6やSmad7の発現量がEMTを制御する転写の調節において重要である可能性が示された。さらに、乳がん細胞株において、いくつかのTGF-β標的遺伝子をモデルとしてSmad6やSmad7による転写調節の分子メカニズムの解析を進めた。共免疫沈降アッセイやクロマチン免疫沈降 (ChIP) アッセイを用いてDNA配列上におけるSmad6やSmad7とSmad1、Smad3やSmad4、転写共役因子との結合を調べ、Smad6やSmad7がDNA上でSmad1やSmad3に結合して直接転写を制御する可能性があることを明らかにした。
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