2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of Wnt-addicted cancer cells using comprehensives transcriptome data
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20K07563
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 貴世志 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50466843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 洋一 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20272560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸がん / Wntシグナル / トランスクリプトーム / 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の解析により、2つの新規Wnt標的遺伝子、MOSPD1とODAMの転写活性化は、MOSPD1遺伝子の下流およびODAM遺伝子から約15kb上流に存在する調節領域(エンハンサー)が重要であることが示唆された。本年度は、さらにこれら遠位エンハンサーと標的遺伝子の発現について詳細な解析を行った。Chromosome Conformation Capture(3C)アッセイにより周辺領域の高次構造を検討したところ、MOSPD1遺伝子の3’-flankingエンハンサーとプロモーター、およびODAM遺伝子の遠位5’-flankingエンハンサーとプロモーターが相互作用していることが明らかとなった。さらに、Wntシグナル活性が高い大腸がん細胞株において、CRISPR-Cas9を用いてエンハンサー領域を切断・除去すると、MOSPD1の発現は有意に低下した。以上の結果より、Wnt/β-cateninシグナルは3’-flankingのエンハンサー領域を介してMOSPD1の発現を調節していることが明らかとなった。 また、ODAMのがん細胞における役割を明らかにするため、ODAMの発現が高い肝芽腫細胞ならびに大腸がん細胞で ODAM をノックダウンし、RNA-seqによる遺伝子発現解析を行った。複数のODAM siRNA 処置により、2種類の細胞で共通して発現変動する117 遺伝子を同定した 。さらにMSigDBで公開されているHallmarksやGO、Pathwayなどの遺伝子セットを利用して、over-representation解析を行ったところ、ODAMが細胞周期の進行に関与していることが示唆された。今後はODAMと細胞周期の関係について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、3Cアッセイによる高次構造解析やCRISPR-Cas9によるゲノム編集により、遠位エンハンサーがMOSPD1の発現に重要な役割を果たす直接的な証拠を得た。またODAMの機能についても、遺伝子発現解析とシステム生物学的なアプローチにより明らかになりつつあり、当初計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
MOSPD1と同様に、エンハンサー領域を除去するとODAMの発現が低下するかどうかをリアルタイムPCRによって検討する。ODAM発現が及ぼす細胞周期への影響をフローサイトメトリーにより解析し、さらに詳細な分子メカニズムについても検討を加える。既に樹立しているHAP1-APCノックアウト細胞のRNA-seq解析や、ナノポアシーケンサーを用いたdirect RNA-seq解析も実施する予定である。
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