2022 Fiscal Year Annual Research Report
がん悪性化の根幹であるマスター転写因子の発現誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K07568
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
羽澤 勝治 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (40622460)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核膜孔複合体 / スーパーエンハンサー / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、核構造と結びついたゲノム構造・機能環境に着目し、核膜孔を構築する核膜孔複合体を介した、扁平上皮癌(SCC:Squamous Cell Carcinoma)特異的マスター転写因子(MTF: Master Transcription Factor)の発現が誘導され維持されるメカニズムを解明することを目的とした。 SCC特異的MTFであるTP63に注目し、TP63の発現を誘導するスーパーエンハンサー(SE)をDNA-FISH法可視化し、核内空間における局在解析を実施した。TP63を含めたいくつかのSEが核膜孔近傍に局在化することが明らかになった。このSEの局在化にはSE構成タンパク質とNUP153の弱い分子間相互作用が関わることを明らかにした。 この分子間相互作用を生化学的に検出するための方法(LAIP法)を考案し、LAIP法とMS解析を組み合わせることで、SE構成因子や核膜孔相互作用因子について完全プロファイリングを達成した。 TP63のmRNA核外搬出効率について、新生RNAラベル法を用いて解析した。SEを核膜孔近傍に局在化させる責任分子をノックダウンした細胞では、TP63の発現に関わるSEの局在が核内部へ移行し、TP63の核外搬出効率が優位に低下することを明らかにした。 本研究により、核膜孔はTP63の発現誘導に重要なSEを近傍に配置し、転写後RNAを効率よく搬出し、TP63の発現を保証することが明らかになった。
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