2020 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞の複製ストレスを解消する新規lncRNAの機能解明
Project/Area Number |
20K07570
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80548470)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNA複製ストレス / 長鎖非翻訳RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞にヒドロキシウレアやカンプトテシンを処理して複製を阻害し、人工的に複製ストレスを与えると、複数のlncRNAの発現が上昇する。私たちはこれまで、TUG1がDNAの複製ストレスから生じるDNA損傷を防ぐために必須の機能を持つことを明らかにしてきた。本年度はlncRNAと結合するタンパク質を網羅的に同定するために、Cas13を用いた手法を確立した。これまでの技術は、化学的またはUVによりRNAとタンパク質を架橋した後に、その複合体を分離する手法が用いられてきたが、非特異的な結合も含めて同定されてしまうことや、生理学的に重要な相互作用が架橋によってマスクされてしまうという問題点があった。そこでCRISPR技術を利用して目的のRNAに結合するタンパク質を生細胞内で同定するCRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method (CAPID)法を行った。HEK293T細胞に、BASU-dCasRxと、TUG1を標的とするgRNAを導入し、相互作用するタンパク質を同定した。CARPID法から得られた新規TUG1結合タンパク質の中に、RNA helicaseの一種を見出した。また、一本鎖DNAに結合するタンパク質もTUG1と相互作用するタンパク質の中に見出され、TUG1がDNA/RNA代謝に関わるタンパク質の機能に関わっている可能性が示唆された。同定したRNA helicaseの既知の性質として、DNA複製フォークが転写機構と衝突した際に形成されるR-loopへの結合が報告されている。そこでTUG1とRNA helicaseの複合体がR-loopの解消に関与しているかについて現在解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞にヒドロキシウレアやカンプトテシンを処理して複製を阻害し、人工的に複製ストレスを与えると、複数のlncRNAの発現が上昇する。私たちはこれまで、TUG1がDNAの複製ストレスから生じるDNA損傷を防ぐために必須の機能を持つことを明らかにしてきた。本年度はlncRNAと結合するタンパク質を網羅的に同定するために、Cas13を用いた手法を確立した。これまでの技術は、化学的またはUVによりRNAとタンパク質を架橋した後に、その複合体を分離する手法が用いられてきたが、非特異的な結合も含めて同定されてしまうことや、生理学的に重要な相互作用が架橋によってマスクされてしまうという問題点があった。そこでCRISPR技術を利用して目的のRNAに結合するタンパク質を生細胞内で同定するCRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method (CAPID)法を行った。HEK293T細胞に、BASU-dCasRxと、TUG1を標的とするgRNAを導入し、相互作用するタンパク質を同定した。CARPID法から得られた新規TUG1結合タンパク質の中に、RNA helicaseの一種を見出した。RNA helicaseの既知の性質として、DNA複製フォークが転写機構と衝突した際に形成されるR-loopへの結合が報告されている。そこでTUG1とRNA helicaseの複合体がR-loopの解消に関与しているかについて現在解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はTUG1の複製ストレスにおける分子生物学的機能解析の結果をまとめ、がん細胞のDNA複製ストレスを解消するlncRNA発見の成果としてまとめる。さらに複製ストレスを解消する機能をもつ新規lncRNAを同定するために、ハイスループット細胞イメージングシステムを用いたスクリーニングを行う。続いてそれらの結合タンパク質を解析し、がん細胞が複製ストレスを解消する未知の分子機構の解明を試みる。
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Causes of Carryover |
共通機器室への細胞イメージング機器導入により、これまで使用していた実験キットの購入が不要になった。次年度使用額は研究をさらに推進させるために、高解像度でのイメージングを行うための試薬購入費用に充てる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Cancer-Specific Targeting of Taurine-Upregulated Gene 1 Enhances the Effects of Chemotherapy in Pancreatic Cancer2021
Author(s)
Tasaki Y, Suzuki M, Katsushima K, Shinjo K, Iijima K, Murofushi Y, Naiki-Ito A, Hayashi K, Qiu C, Takahashi, Tanaka Y, Kawaguchi T, Sugawara M, Kataoka T, Naito M, Miyata K, Kataoka K, Noda T, Gao W, Kataoka H, Takahashi S, Kimura K, Kondo Y
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Journal Title
Cancer Research
Volume: 81
Pages: 1654~1666
DOI
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