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2020 Fiscal Year Research-status Report

悪性黒色腫における新規がん制御遺伝子の機能解析と癌治療への応用

Research Project

Project/Area Number 20K07571
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

新澤 康英  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70403186)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords悪性黒色腫 / 癌化 / ピリミジン代謝 / モデルマウス
Outline of Annual Research Achievements

悪性黒色腫(メラノーマ)は、日本でも増加傾向にあり、悪性度が高く、極めて予後の悪いがんである。GREB1のmRNA発現は、前立腺腺癌、乳癌に次いで悪性黒色腫でも高いことがわかっている。悪性黒色腫においてGREB1遺伝子発現は、MITF転写因子依存的であり、また、他のがん種で認められる全長ではなく、C末端側半分をコードするスプラシングバリアント、isoform 4 (is4)を特異的に転写していることを見い出した。さらに、日本人悪性黒色腫組織におけるGREB1タンパク質の発現を免疫組織学的に検討し、良性腫瘍である母斑、悪性黒色腫において高発現し、その発現はMITFと正の相関をしていることを確認した。複数の悪性黒色腫細胞株の細胞増殖がGREB1 is4依存的であることを、アンチセンス核酸やsiRNAを用いて確認した。さらに、GREB1 is4タンパクの特異的結合分子として、ピリミジン代謝の律速酵素であるCAD (carbamoyl-phosphate synthetase 2, aspartate transcarbamylase, and dihydroorotase)を同定し、GREB1 is4タンパクがCADの活性を促進することを生化学実験により確認した。また、悪性黒色腫細胞株においてGREB1 is4の発現抑制はピリミジン代謝を特異的に抑制することを、HPLCやメタボローム 解析により確認し、GREB1 is4がCADを介したピリミジン代謝亢進により、悪性黒色腫の増殖を制御していることを明らかにした。
以上、ホルモン依存性の癌とは異なるGREB1遺伝子の、悪性黒色腫におけるユニークな転写機構や細胞増殖における役割を分子レベルで明らかにした。悪性黒色腫特異的なGREB1 is4の遺伝子発現機構について、第93回日本生化学会大会で発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

GREB1 is4に特異的に結合する分子としてCAD、TKT酵素を同定した。GREB1 is4およびCADレコンビナントタンパク質を精製し、14CラベルされたHCO-、ATP、Gln、Aspを基質として、14CのCAP(carbamoyl phosphate)への取り込みを指標にCAD活性に対するGREB1 is4の効果について検討した。その結果、GREB1 is4タンパク質がCAD活性を促進することを示し、GREB1 is4分子機能の一端を明らかにした。次に、日本人悪性黒色腫組織におけるGREB1タンパク質の発現を免疫組織学的に検討し、良性腫瘍である母斑、悪性黒色腫での発現レベルを検討し、その発現はMITF転写因子と正の相関をしていることを確認した。さらに、メラノサイト特異的GREB1 is4トランスジェニック(TG)マウスの作製に成功し、現在、メラノサイト性過形成を生じるBRAFV600Eマウスと交配中である。
以上、本研究は研究計画書に従い、順調に進行している。

Strategy for Future Research Activity

GREB1 is4の分子機能としてCADに加え、TKTとの関連について、R5P(ribose 5-phosphate)とXu5P(xylulose 5-phosphate)を基質としてNADH の酸化を指標に測定する。また、欠失変異体を作成し、CAD、TKT酵素とGREB1 is4との結合に関与する部位を決定する。また、GREB1 is4をノックダウンした悪性黒色腫細胞株を用いて、メタボローム 解析を行い、de novoのヌクレオチド合成に対する影響について検討する。さらに、メラノサイト特異的GREB1 is4 TGマウスを、メラノサイト性過形成を生じるBRAFV600Eマウスと交配し、GREB1 is4の悪性黒色腫形成における役割を解析する。BRAFV600E 単独コントロール、BRAFV600E GREB1 is4TGマウスの背部皮膚に悪性黒色腫を誘導させ、腫瘍数、腫瘍サイズの測定、組織標本作成を行う。また、肺、リンパ節など他の臓器への転移、マウスの生存日数を観察し、個体レベルでのGREB1 is4の生理機能を遺伝学的に明らかにする。

Causes of Carryover

当該年度は実験が予定通りに順調に進み出費が抑えられたが、次年度は受託解析としてメタボローム解析やマウスの飼育数が増え、マウス飼育費の増大が予定されるため。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 悪性黒色腫におけるGREB1 isoform 4の発現機構解析とがん治療への応用2020

    • Author(s)
      新沢康英、 松本真司、種村篤、藤本学、菊池 章
    • Organizer
      第93回日本生化学会大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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