2021 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞発生でのAktシグナル経路によるエピゲノム制御と代謝制御の解明
Project/Area Number |
20K07577
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
関田 洋一 北里大学, 理学部, 准教授 (20431950)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 俊英 北里大学, 医学部, 講師 (10623184)
木村 透 北里大学, 理学部, 教授 (50280962)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グリオブラストーマ / がん幹細胞 / state transition |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、グリオブラストーマ由来培養細胞における、がん幹細胞状態と非がん幹細胞状態を遷移する現象(State transition)の定量的解析および、可視化のための準備を行った。 State transitionの定量的解析では、無血清培地で浮遊培養した細胞中の、がん幹細胞マーカーとして広く認知されているCD133の陽性率を免疫染色とフローサイトメトリーにより測定した。本研究で使用している細胞系列ではCD133陽性率は約15%であった。ソーティングにより、CD133陽性細胞と陰性細胞をそれぞれ単離し、21日間培養したところ、陽性細胞集団からは約20%のCD133陰性細胞が、陰性細胞集団からは約20%のCD133陽性細胞が出現した。一方、CD133陽性および陰性細胞集団間で、がん幹細胞の特徴であるスフェア形成能に顕著な違いはなかった。また、神経系列細胞の分化マーカーの発現をRT-qPCRで測定したところ、2つの集団間で顕著な発現差があるマーカーはなかった。次に、細胞を血清培地中で接着培養し、分化マーカーを測定したところ、浮遊培養した細胞と比べて、分化が進んでいることが示唆された。現在、接着培養後に無血清培地に戻して、脱分化が起こるのかを検証している。 State transitionの可視化では、CD133をコードする遺伝子PROM1のシス制御領域をクローニングし、その制御下で蛍光タンパク質を発現するレンチウィルスベクターを作製した。また、State transitionの定量的解析で使った、浮遊培養細胞にレンチウィルスベクターを感染させる実験系を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD133を指標としたFACS解析、GBM由来細胞への遺伝子導入系、マーカー遺伝子の測定など、今後行う実験の条件を確立することができた。これらに基づき、サンプルを作製、解析していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
State transitionの可視化のため、作製したPROM1-蛍光タンパク質の発現とCD133の発現が同調する細胞を単離する。また、マーカーの発現解析から、幹細胞マーカーの候補となる遺伝子が見つかったので、この遺伝子の発現制御領域を使ったCSCの可視化にも取り組む。
|
Causes of Carryover |
レンチウィルスベクターの作製が、予定よりも順調に進んだため、繰り越すこととなった。次年度には、幹細胞培養のための無血清培地を大量に使用することになり、その購入に当てる。
|
Research Products
(9 results)