2021 Fiscal Year Research-status Report
新規同定一次線毛発現制御分子KATNAL2は肺腺癌幹細胞の治療標的となり得るか?
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20K07581
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐久間 圭一朗 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, ユニット長 (90402891)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺腺がん / 一次線毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、肺腺がん細胞における一次線毛発現制御分子KATNAL2の機能解明を試みた。方針としては、以下に示す2つの検討を並行しておこなった。 1. 細胞レベルの検討 前年度までの成果から、一次線毛陽性の肺腺がん細胞は高頻度に細胞周期の停止を認めることが既にわかっている。本年度は、この細胞周期停止のメカニズムを一次線毛との関連からアプローチして解明を試みると同時に、昨年度までに樹立したKATNAL2のノックアウト細胞を用いて、抗がん剤の感受性と一次線毛/KATNAL2の関係を検討した。結果、一次線毛陽性細胞は予想外のシグナル伝達経路を介して細胞周期の停止に至っていることが示唆された。このシグナル伝達系の活性化には、腫瘍細胞自体もしくは腫瘍微小環境の関与、いずれの可能性も考えられた。この点は今後臨床検体も用いて詳しく検討する必要がある。一方で、一次線毛/KATNAL2が一部の抗がん剤に対する感受性に大きな影響を与えていることが示唆された。抗がん剤耐性に一次線毛/KATNAL2が関与している可能性を示す結果であるが、一次線毛陽性細胞がいわゆるがん幹細胞と必ずしも一致するわけではないようである。この点も今後詳細な検証を要する。 2. 生体レベルの検討 国立長寿医療センター研究所との共同研究により、KATNAL2のコンディショナルノックアウトマウスの作出を試みている。昨年度は、マイクロインジェクション装置に故障が発生し、その更新に時間を要したため、目的のマウスを得るには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やむを得ない理由ではあるが、マウスの作出が想定より遅れている。細胞レベルの実験については概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属機関変更に伴ってマウスを用いた実験系の立ち上げに時間を要すること、また、マウスの作出自体が遅れていることを鑑み、マウスを用いた検討に関しては一旦中断し、令和4年度は細胞レベルの検討にエフォートをより集中する。
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Causes of Carryover |
当初の想定を超える試薬代を要したために前倒し請求の必要が生じたが、科研費以外の財源を確保することができたため、前倒し請求分を使用する必要が無くなった。これにより、次年度も当初の計画通りに研究を遂行可能である。
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