2021 Fiscal Year Research-status Report
膵発癌モデルを用いたVCAM-1阻害による膵癌の全身病態制御機序の解明
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20K07584
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 卓 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30771050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊地知 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / VCAM-1 / 癌関連血栓塞栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床の膵癌像をよく再現する膵発癌モデルマウス(膵臓特異的Kras変異+TGF-beta II型受容体ノックアウト)において、接着因子VCAM-1の中和抗体が生存期間を劇的に延長させる(対照群60日 v.s. 投与群250日)。また本モデルは68%と高率に癌関連血栓塞栓症を呈する。そこで、この生存延長効果の機序として、VCAM-1と膵癌関連血栓塞栓症の関係と、VCAM-1阻害による血栓塞栓症制御効果を明らかにすることが本研究の目的である。膵癌剖検検体の血栓組織の解析から、癌関連血栓にVCAM-1が強く染色され、マクロファージ、好中球、CD11b陽性MDSC(myeloid-derived suppressor cell)も血栓形成部位に検出され、マウスでの所見がヒトにおいても検証された。血栓形成における白血球の血管内皮への接着は膵癌マウスの血漿存在下で亢進し、マクロファージの接着が良く観察され、VCAM-1阻害により抑制された。またマウスのみでなく、血栓症を発症した膵癌化学療法患者の血中VCAM-1およびANPは、血栓症非発症例に比べ、血栓症発症前から有意に高濃度であり、癌関連血栓症発症予測のバイオマーカーとしての有用性も示唆された。また、本モデルマウスにVCAM-1中和抗体を投与すると血栓塞栓症の全身への進展を抑制する効果も認められた。これらの結果をGut誌に報告した。また、血中VCAM-1がgemcitabine投与により上昇することが、gemcitabine治療の独立した予後不良因子となることも明らかにし、Scientific Reports誌に報告した。その後、この膵発癌モデルマウスにおいて膵臓上皮特異的にVCAM-1ノックアウトし、その表現型を検討すべくVCAM-1 conditional knockoutマウスとの交配を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍の影響でVCAM-1のconditional knockoutマウスの導入が遅れていたため、マウスの交配が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
VCAM-1のconditional knockoutマウスを施設内に導入することはできたので、本来の目的であった膵癌モデルマウスとの交配を進めていく。
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Research Products
(1 results)