2022 Fiscal Year Annual Research Report
Role of glycocalyx in cancer
Project/Area Number |
20K07587
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英志 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (30402176)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グリコカリックス / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリコカリックスの主成分のヘパラン硫酸を血管内皮細胞特異的に減少したコンディショナルノックアウトマウスを作製し、最終年度はその解析を行った。ヒト大腸癌微小環境を最も再現できる自然発症大腸癌Apc MinマウスをExt1-CKOVEマウスと交配し、ヘパラン硫酸減少Ext1-CKOVE/Apc Minマウスを作製し、野生型Apc Minマウスと腫瘍径と数を比較した。Ext1-CKOVE/Apc Minマウス大腸腫瘍は、数もサイズも野生型Apc Minマウスを上回り、腫瘍内血管の数の差は無かった。よって、ヘパラン硫酸減少によるグリコカリックス減少は、少なくとも大腸癌では増殖促進に働くことが示された。これらの結果は、血管内皮グリコカリックス異常は、腫瘍増殖について、臓器毎に違いが現れることを示している。続いて、腫瘍組織で網羅的遺伝子発現解析を行うと、Ext1-CKOVE/Apc Minマウス腫瘍でリンパ球系、獲得免疫系の活性化、遊走促進、免疫チェックポイント因子など多数の発現の低下が著明であった。自然免疫系をフローサイトメーターで解析してみると、Ext1-CKOVE/Apc Minマウス腫瘍で好中球、抗原提示樹状細胞、組織球が増加していた。さらに、IL6, TNFなど炎症性サイトカインは上昇していた。これらの結果から、Ext1-CKOVE/Apc Minマウス大腸癌では、グリコカリックス減少内皮がゲートキーパーで、自然免疫系の暴走、炎症性サイトカイン上昇が引き起こされ、獲得免疫系及び免疫チェックポイントも低下しまう、つまり、癌細胞の免疫回避環境に陥ったことが示唆された。
|
Research Products
(1 results)