2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化に伴う細胞質クロマチン断片蓄積の分子機構と発がんとの関係解明
Project/Area Number |
20K07589
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邉 すぎ子 熊本大学, 発生医学研究所, 特定事業研究員 (10433012)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | がん / ゲノム不安定性 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化細胞における細胞質内クロマチン断片の発生メカニズムを解明するために、まずは細胞老化の過程で核外に漏れ出すクロマチン断片の質的特徴の描出を試みた。 10cm培養皿にヒト正常初代培養線維芽細胞TIG-3細胞を培養し、ウイルスベクターを用いて活性型癌遺伝子を導入して細胞老化を誘導した。コントロール群と細胞老化群の細胞を回収の上、低張バッファーで処理して核と細胞質に分画し、それぞれのDNA抽出を行った。イルミナ社Nexteraキットを用いてライブラリーを作成の上、バイオアナライザーで品質を確認した後、次世代全ゲノムシーケンスを行った。データをCLC Genomic Workbench (QIAGEN)等を用いて解析を進めた。細胞老化を誘導した細胞群の細胞質内DNA配列は、核分画や誘導前の細胞質分画とは明らかに異なる特異的増減パターンを示すことが明らかになった。 次にその細胞質に特異的に増加するゲノム領域が、実際のがんで変異しているかを検証するために、TCGAのがんサンプルを用いて解析したところ、複数のがん種において、それら配列を含む構造変異が高率に認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染対策および研究機関異動があったが、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞老化の細胞質に特異的に増加するDNA配列の結合因子の解析から、加齢に伴い増加するゲノム不安定性の発生機序を明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(3 results)