2020 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス応答の分子機構の解明および新たながん治療応用への基礎的検討
Project/Area Number |
20K07595
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤川 由美子 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (10610008)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 酸化ストレス / 阻害剤 / PIKKs / SMG1 |
Outline of Annual Research Achievements |
PIKKsファミリーメンバーであるタンパク質リン酸化酵素SMG1は、mRNA監視機構において必須の役割を果たす一方、酸化ストレス依存的なp53の活性化やストレスグラニュール(SG)の形成に関わるということを我々はこれまでの研究から明らかにしてきた。本研究では SMG1が酸化ストレス応答の上流制御因子として機能するということを仮説とし、SMG1による酸化ストレス応答の分子機構の解明を目的とする。さらに、がん細胞株および正常細胞株におけるSMG1の酸化ストレス応答の役割、SMG1阻害による抗腫瘍効果とその分子機構を明らかにすることにより、SMG1活性制御による新たながん治療の可能性を探索する。 がん細胞株としてヒト前立腺がん細胞PC3を用い、SMG1阻害剤による抗腫瘍効果の関係を明らかにするため、細胞増殖を解析したところ、SMG1阻害剤の投与により、正常細胞と比較して優位に細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。PC3は、酸化ストレス応答転写因子であるp53欠損およびPTEN欠損依存的なFOXO3の恒常的な不活性化により、酸化ストレス感受性が高いことが示唆された。さらに、SMG1阻害剤の投与有無により酸化ストレス応答遺伝子HO-1等の発現に変化があるかmRNAおよびタンパク質を抽出し解析を行ったところ、SMG1阻害により酸化ストレス応答遺伝子の発現が減少することが明らかになった。さらにSMG1阻害はPC3において細胞増殖を抑制することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SMG1阻害薬によって複数の酸化ストレス応答遺伝子の発現を有意に減少させることが明らかとなり、本研究の仮説を基に分子生物学的手法を用いて解析することができる状況であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
SMG1が酸化ストレス応答の上流因子として機能するかについて、酸化ストレスに関わる因子のリン酸化状態について解析を行い、より詳細な分子機構の解明を目指す。
|
Causes of Carryover |
SMG1のキナーゼ活性を解析するため、複数のタンパクのリン酸化状態を解析するため、新規のリン酸化抗体を作製することになったが、抗体作成の準備が前年度から継続しており、その費用にあてることとしたい。前年度は学会参加などを自粛しており、未使用額が発生した。
|