2021 Fiscal Year Research-status Report
好中球増多を伴う子宮悪性腫瘍における癌幹細胞による好中球細胞外トラップ誘導機構
Project/Area Number |
20K07596
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
馬淵 誠士 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 婦人科部長 (00452441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 翔 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20825236) [Withdrawn]
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330) [Withdrawn]
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50382289) [Withdrawn]
竹田 善紀 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (50825239) [Withdrawn]
三宅 龍太 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20866008) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MDSC / 癌幹細胞 / 好中球 / 好中球細胞外トラップ / 子宮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、「好中球増多を伴う婦人科悪性腫瘍において、「MDSCによって誘導された癌幹細胞(Caner stem cells、以下CSC)は、血管内に侵入した後、循環血液中において何らかの方法で好中球を刺激し、好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracellular traps、以下NETs)を形成させ、CSCはNetsの中に身をおくことで、抗腫瘍免疫の監視を逃れ、自身の血管外進展を有利にする」との仮説を立て、研究を行っている。 令和2年度の研究により、好中球増多を伴う婦人科悪性腫瘍の動物モデルから抽出したMDSCを、子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌細胞と共培養することにより、これらのいずれの細胞に対しても癌幹細胞化を促進すること、またCSCが、Non-CSCに比して抗腫瘍免疫の監視を逃れやすい性質を有していることも明らかになった。 令和3年度は、①MDSCによって誘導されたCSCがNETsを誘導するか、CSCがNon-CSCに比してNETs誘導能が強いか、②CSCによって誘導されたNETs内にCSCが存在し、抗腫瘍免疫の監視を逃れやすい状態となっているか、の二点について研究を計画・実施。これまでに、ヒト子宮悪性腫瘍細胞株にG-CSF発現Vectorを安定導入したG-CSF発現株、Control vectorを安定導入したControl株を作成し、これらを皮下移植した「好中球増加モデル」、「Controlモデル」樹立した。これらを用い、好中球増加モデルにおいて、好中球/MDSC/CSCが増加していること、またこれらのモデルマウスからCSCおよびNon-CSCが抽出できることも確認した。現在は、これらの細胞と、健常人末梢血から密度勾配遠心法により分離した好中球をPoly-L-lysineコートディッシュ上で共培養し、形成されるNETsを二群で比較する段階である。NETsの評価には、抗Histone H3抗体と抗Myeloperoxidase抗体を用いた免疫蛍光染色法を用い、CSCがNon-CSCに比してNETs誘導能が高いか否かの検討を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に完了予定であった2番目の課題「CSCで誘導されたNETs内にCSCが存在することの確認」が未実施である。しかし、これは、1番目の課題「MDSCによって誘導されたCSCがNETsを誘導するか、CSCがNon-CSCに比してNETs誘導能が強いかの検討」に比して、手法が単純であり、短時間で実施できると考えている。以上の理由により、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に完了できていない課題(前述)について、継続して研究を行うと共に、令和4年度の課題として、「CSCから放出され、NETs誘導に関わる因子X候補の同定」に取り組む計画である。 これまでに確立した手法で好中球・CSC・Non-CSCを抽出し、①好中球とCSCの共培養、②好中球とNon-CSCの共培養、③CSCのみ、④Non-CSCのみ、の4条件を設定し、CSCおよびNon-CSCから蛋白およびRNAを抽出。蛋白発現および遺伝子発現の比較を行い、CSCがNETsを誘導するために放出する因子X候補を同定したい。また、好中球に因子X候補を投与し、Nets誘導が刺激されるか、また因子Xの阻害により、因子Xを介したNETs形成がキャンセルできるかを検討する。また、マウス子宮悪性腫瘍モデルおよびヒト子宮悪性腫瘍から、末梢血および腫瘍検体を採取し、因子XおよびDNA量を定量し、Validationとする計画である。
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Causes of Carryover |
計画通りに研究を進め、支給額の全てを使い切る計画であったが、予想より割引率の高い物品があったため、1,620円の次年度使用額が生じた。
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