2022 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺導管癌における腫瘍浸潤リンパ球の解析と治療効果・予後予測因子としての意義
Project/Area Number |
20K07597
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松木 崇 北里大学, 医学部, 講師 (00525511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 雄一郎 国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (70292430)
長尾 俊孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (90276709)
平井 秀明 東京医科大学, 医学部, 助教 (00770744)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺導管癌 / 癌免疫微小環境 / 腫瘍浸潤リンパ球 / ミスマッチ修復機構 / 高頻度マイクロサテライト不安定性 / 免疫チェックポイント阻害薬 / ペムブロリズマブ / PDL-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺導管癌(SDC)の腫瘍組織内における免疫チェックポイント分子の発現、免疫細胞浸潤の解析を行うことにより、唾液腺導管癌の癌免疫微小環境の臨床病 理学的意義を明らかにすること、唾液腺導管癌に対する免疫チェックポイント阻害薬による治療の可能性を探ることが本研究の主目的である。 これまでの研究で、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG-3の免疫組織化学染色、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)に関する解析としてCD8、FOXP3の免疫組織化学染色、ミスマッチ修復機構の欠損(dMMR)に関する解析としてMLH1、MSH2、PMS2、MSH6のMSI(マイクロサテライト不安定性)の免疫組織化学染色とMSIに関する遺伝子異常解析、これらに関して根治治療を行ったSDC症例129例のデータが確定できた。得られた結果を根治治療が施行されたSDC症例群において、予後との関連、および、従来の研究で得られていたHER2、アンドロゲン受容体(AR)、Ki-67、p53などの臨床病理学的因子との相関関係に関して統計解析した。解析が完了し、PD1、CTLA4、CD8、FOXP3、および LAG3 のより高発現は、より悪性度の高い組織学的特徴、より悪いリンパ節転移や遠隔転移の状態、より高いKi-67インデックス、そしてより悪い予後と関連していた。さらに、より高いPD-L1 状態の症例は、より悪性度の高い組織学的特徴とより悪い臨床転帰と関連していることがわかった。 また実臨床において、免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブを投与されたSDC症例のデータも全国9施設から収集しており、その治療効果と安全性やその後の化学療法の治療効果、そしてそれらの治療効果に影響するバイオマーカーなどの因子についての解析を進めている。 これらの研究に関して、それぞれ2023年度中に結果報告を行える見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SDC症例群において、予後との関連、および、従来の研究で得られていたHER2、アンドロゲン受容体(AR)、Ki-67、p53などの臨床病理学的因子との相関関係の 統計解析を行っている。 唾液腺導管癌多施設共同研究参加施設にて根治治療を行った症例の予後を含む臨床データおよび検体の収集が終了した。 癌微小環境に関する各種免疫組織化学染色(PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG-3、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)に関連するCD8、FOXP3、および、ミスマッチ修復機構の欠損 (dMMR)に関する MLH1、MSH2、PMS2、MSH6の免疫組織化学染色、MSI遺伝子異常のデータ収集も終了した。得られたデータから予後を反映する各検査項目のカットオフ値をsensitivity analysisにより決定した。このカットオフ値を用いて、HER2、アンドロゲン受容体(AR)、Ki-67、p53の発現との相関関係解析、および、各解析項目と無増悪生存期間、全生存期間との関連性の有無の統計解析を施行して概要欄に記載したような結果を得た。実臨床で免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブが投与されたSDC症例のデータ収集も終了しており、現在解析を行っている。これらに関する研究がそれぞれ2023年度中に結果報告を行える段階にきている。本来は2022年度中に完了することを目指していたためわずかな遅れはあったが、概ね順調な伸展と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本研究で得られた結果と唾液腺導管癌根治治療症例の予後データ(無増悪生存期間、全生存期間)との関連、および各種臨床病理学因子との相関関係の解析が終了している。これらのデータによる英文論文発表を、2023年度中に行える見込みである。また、本邦で唾液腺癌に対し投与可能となっている免疫チェックポイント阻害薬のひとつであるペムブロリズマブの唾液腺導管癌に対する治療効果と安全性、そしてそれらに影響するバイオマーカーなどの因子に関して多施設共同で後方視的な研究を進めている。投薬内容、治療効果、予後などの臨床データ、CPSなどの病理学的因子のデータ収集は終了しており、統計解析中である。こちらに関しても2023年度中に、検討を終了し英文論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は研究に必要な試薬の使用が想定していたより少なく済んだことで次年度使用額が生じた。研究自体は順調に進んでおり、来年度には、試薬購入における使用に加えて発表や英文論文化に必要な機器の購入、英文校正料や投稿料などにも使用する計画である。
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Research Products
(2 results)