2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanosensitive PIEZO channel functions in cancer cells and their pathophysiological significance
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20K07599
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
村木 克彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20254310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕可 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (00581026)
波多野 紀行 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (50454319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PIEZO / cancer cells / mechanosensitive / ion channel |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、ヒト骨肉腫細胞(MG63)およびヒト肺胞がん細胞(A549)に加え、ヒト血管内皮細胞(HUVEC, BBBE)、ヒト皮膚細胞(HACAT)、ヒト関節線維化滑膜細胞(FLS)おけるPiezoチャネルの性質を、ヒト胎児腎由来細胞(HEK)に強制発現したPiezo1チャネル(HEKhPiezo1)と比較した。本年度の実績として、MG63細胞以外のヒト各組織に発現したPiezo1はHEKhPiezo1ときわめて類似した性質を持つこと、一方、MG63細胞に発現したPiezo1は、その圧力負荷後の脱活性化特性が大きく異なることを発見した(村木、国際学会招待講演で発表済、豪国、2021)。 また2年がかりで進めていたトリPiezo1(gPiezo1)のクローニングに成功し、gPiezo1を強制発現させたHEKを用いて、その薬理学的・電気生理学的特性を詳細に解析した。その結果、gPiezo1はhPiezo1と比較し、細胞膜発現の効率が数十倍高いこと、hPiezo1活性化薬のYoda1の感受性も数倍高いこと、アミノ酸の相同性が60-70%であったgPiezo1もhPiezo1と同様、圧力感受性を示すが、その不活化特性が弱いこと、などが明らかとなった(村木、国際学会招待講演で発表予定、英国、2022)。さらに2021年度には、設備備品として培養細胞シートに伸展刺激を負荷する伸展装置を設置し、様々な実験条件下における細胞伸展負荷時の細胞の性質変化を検討した。その結果の一部として、Yoda1によるPiezo1の活性化と細胞伸展負荷によるPiezo1活性化は、その下流シグナルが異なることを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトPiezo2の全長クローニング(全長パーツの取得には成功しているが、接合が不完全)はまだ成功しておらず、この点は研究の進捗が進んでいないと考えている。 一方、トリPiezo1の完全全長クローニングおよび細胞発現に成功し、ヒトPiezo1と比較できたことは、大きな進歩であったと考えている。とくにアミノ酸の相同性とチャネルの性質を比較できるようになったことで、今後、機能的に重要なアミノ酸を同定できると期待している。また培養細胞シートへの伸展負荷が可能となったため、イオンチャネルの性質をよりマクロなレベルで解析できるようになったことも大きいと考えている。研究課題全体としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトPiezo1とトリPiezo1の性質を詳細に比較して、機能的に重要なアミノ酸を同定したい。またそのアミノ酸がガン細胞でも保存されているか検討し、ガン細胞と圧力感受性の関係を明らかにしたい。とくにトリPiezo1はヒトPiezo1と比べ、細胞膜発現が極めて高い。この仕組みが解明できれば、がん細胞でのpiezo1発現を制御できる可能性があると考えている。ヒトPiezo2のクローニングには成功していないが、困難であったトリPiezo1クローニングの成功過程で、ベクター導入へのヒントも得ている。2022年度には、その結果を利用して、ヒトPiezo2遺伝子の完全構築も目指す予定である。
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Causes of Carryover |
実験上、必須となった培養細胞シート圧力負荷装置の購入を決定したものの、それを用いた実験が遅れ、消耗品等の支出が減ったため。R4年度交付金は主に消耗品購入に充て、研究課題の完了を目指す予定である。
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