2023 Fiscal Year Annual Research Report
浸潤性膀胱癌における新規治療ターゲットとしての一次繊毛
Project/Area Number |
20K07601
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
吉田 崇 関西医科大学, 医学部, 助教 (00714966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 進 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (30399472)
大江 知里 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40469242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一次繊毛 / IFT88 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、IFT88の欠損と膀胱癌発症・進展の関係性を明らかにするため、マウス実験を行った。膀胱癌には、luminal typeおよびbasal typeに大きく分けられ、特に後者は筋層浸潤性膀胱癌で多く認められる。本研究では、basal typeの主マーカーであるKrt5のIFT88を欠損させるコンディショナルノックアウトマウスを作成し、実験することとした。 Krt5-cre/ERT2 (+/-); IFT88 (fl/fl) マウスにタモキシフェンを腹腔内投与することによりKrt5陽性細胞特異的にIFT88を欠失させた。同マウスを作成後、半年程度経過観察を行っていたが、膀胱粘膜において明らかな癌化は認められなかった。 続いて、膀胱癌マウスモデル作成の手法として確立されている、N-Butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine (BBN) の飲水投与により膀胱癌を誘導した。BBN投与3ヶ月後から6ヶ月後までの膀胱を採取し、凍結切片作製後、H&E染色および免疫組織化学染色を実施した。その結果、特にBBN投与5ヶ月以降において、コントロール群では上皮内癌のみが認められたのに対し、IFT88欠失マウスの膀胱上皮では著明な筋層浸潤性膀胱癌が認められた。また、免疫染色でp53陽性細胞がIFT88欠損マウスで顕著に増加していた。 これら結果より、尿路上皮Krt5陽性細胞のIFT88欠損だけでは癌発症が促進されることはないが、発癌物質により癌化を誘導した際、尿路上皮癌の浸潤性および悪性化が促進される傾向となることが明らかなとなった。今後、膀胱サンプルよりRNAを抽出し、RT-qPCR法を用いてIFT88および癌化に関連する標的分子の発現解析を実施する予定である。
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