2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the control system of intravenous tumor thrombus formation by long-noncoding RNA in hepatocellular carcinoma
Project/Area Number |
20K07608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲垣 善則 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40733390)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 脈管腫瘍栓 / 長鎖非コードRNA / 浸潤 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、ヌードマウスを使用したin vivo肝転移モデルを利用して、長鎖ノンコーディングRNAの発現が癌細胞の転移に及ぼす効果を検討した。前年度の研究で、ヒト肝癌細胞HuH-7をヌードマウスの脾臓に移植し、3週間後に肝臓に腫瘍が形成されるモデルを構築した。また、肝細胞癌患者の腫瘍栓組織で発現が上昇していた長鎖ノンコーディングRNAであるCRNDEとLINC00665に関しては、その発現変動が癌細胞の浸潤性に影響を及ぼすことをin vitro解析で明らかにした。そこで、これら2種類の長鎖ノンコーディングRNAの発現を低下させた細胞を前述の肝転移モデルに移植して、肝臓での転移巣形成への効果を検討した。その結果、長鎖ノンコーディングRNAの発現を低下させた細胞を移植した肝転移モデルマウスでは、肝臓で形成される転移巣の数が減少した。しかし、形成される転移巣の数における個体差が大きく、統計学的有意差を得るには至らなかった。また、長鎖ノンコーディングRNAの発現制御が移植後に維持されていなかったことが示唆された。従って、恒常的な遺伝子発現制御を達成する方法で長鎖ノンコーディングRNAの発現を低下させた細胞を樹立することを試みる必要がある。一方、CRNDE及びLINC00665の発現の低下は、癌細胞の浸潤性の抑圧を誘導することを見出した。そこで、これらの長鎖ノンコーディングRNAの発現低下が浸潤に関連する因子の発現性に影響を及ぼすか否かを検討した。その結果、長鎖ノンコーディングRNAの発現低下を誘導させた細胞において、細胞の接着に関連する因子や上皮間葉転換(EMT)に関連する因子の発現が変動していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた研究内容(長鎖ノンコーディングRNAの発現変動による浸潤への影響に関連する分子種の検討、in vivoモデルを用いた解析)に関して、おおむね計画通りに遂行できている。しかし、in vivoモデルを用いた解析に関しては方法の変更を含めた再検討を必要としていることから、進捗状況は「おおむね順調に進展している」という判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
着目した長鎖ノンコーディングRNAの発現低下が、細胞の接着に関連する因子や上皮間葉転換(EMT)に関連する因子の発現に影響することを見出したことから、それらの因子が複合的に関連して癌細胞の浸潤・転移に影響を及ぼす分子機構について総括的に解明を試みる。また、長鎖ノンコーディングRNAの発現低下が癌細胞のin vivoでの転移能に影響を及ぼすか否かを明らかにする目的で、恒常的に遺伝子発現制御を可能する細胞を樹立して、モデル動物への移植を実施する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する海外輸入品の中で生産休止や納入遅延の発生した物品が複数あり、計画していた研究内容の一部で物品の使用の変更・中止を行ったため、物品費に未使用額が生じた。また、学会がWeb開催となったため、それに関連する諸経費が未使用となったため、旅費及びその他に未使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)