2022 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴うPD-1経路阻害治療耐性の機構解明と制御法の確立
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20K07615
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
和久 由佳 (仲島由佳) 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員 (40399499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫老化 / CD8陽性細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
網羅的な遺伝子発現比較により同定された加齢に伴い発現増加する抑制性フォスファターゼのPD-1阻害治療耐性への関与を検討するために、その阻害剤を高齢PD-1 KOマウスに投与した。投与から3日後にがん細胞(MC38)を移植し、腫瘍形成の比較を行なった。その結果、阻害剤を投与した高齢マウスにおける腫瘍形成は、コントロール高齢マウスに比べて非常に強く抑制された。この阻害剤による抑制効果は、CD8 KOマウスでは見られなかったことから、抑制性フォスファターゼはCD8陽性T細胞の機能抑制を介して加齢に伴うPD-1阻害治療耐性に関与していることが示唆された。 そこで、高齢マウスにおけるCD8陽性T細胞の機能がこの阻害剤で改善するかどうかを検討するために、OT-1マウス由来の卵白アルブミン(OVA)特異的なT細胞受容体(TCR)を発現しているCD8陽性T細胞(OT-I細胞)を用いた解析を行なった。高齢マウス由来のOT-I細胞はOVAを発現する細胞との共培養によるTCR下流因子の活性化(ZAP70のリン酸化)はほとんど見られなかったが、阻害剤を添加することによりZAP70のリン酸化がOVA依存的に強く亢進された。さらに、抑制性フォスファターゼの発現が高いT細胞と低いT細胞を単離し、遺伝子発現解析を行なった結果、発現の高いT細胞では低い細胞よりもTCR経路に関係する因子の発現が低く、抑制されていることが確認された。 本研究で得られた結果から、加齢に伴うPD-1阻害治療耐性には抗原依存的なナイーブ細胞からP4細胞への分化誘導阻害や1炭素代謝経路の抑制が関与する可能性が示された。さらに、抗原反応阻害には抑制性フォスファターゼの発現亢進が関与し、TCR経路を抑えることでPD-1阻害治療の効果が出にくい状態にしていることが示唆された。
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[Journal Article] Spermidine activates mitochondrial trifunctional protein and improves antitumor immunity in mice.2022
Author(s)
Al-Habsi M, Chamoto K, Matsumoto K, Nomura N, Zhang B, Sugiura Y, Sonomura K, Maharani A, Nakajima Y, Wu Y, Nomura Y, Menzies R, Tajima M, Kitaoka K, Haku Y, Delghandi S, Yurimoto K, Matsuda F, Iwata S, Ogura T, Fagarasan S and Honjo T
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Journal Title
Science
Volume: 378
Pages: eabj3510
DOI
Peer Reviewed
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