2022 Fiscal Year Annual Research Report
膠芽腫幹細胞を標的としたtRNAメチル化酵素阻害剤による制がん戦略の構築
Project/Area Number |
20K07618
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤村 篤史 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10771082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 吉伸 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 教授 (00305004)
黒住 和彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20509608)
富澤 一仁 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40274287)
安藤 隆幸 静岡県環境衛生科学研究所, 医薬食品部, 創薬プロジェクトリーダー・主査 (40402226)
増本 年男 鳥取大学, 医学部, 助教 (40715083)
中村 仁 静岡県環境衛生科学研究所, 医薬食品部, 主任 (50828407) [Withdrawn]
魏 范研 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90555773)
工藤 晃大 静岡県環境衛生科学研究所, 医薬食品部, 主任 (40911433)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膠芽腫幹細胞 / 翻訳制御機構 / 阻害剤開発 / 患者層別化検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、前年度までに、(1)膠芽腫幹細胞の幹細胞性の維持に必要な特定のtRNA修飾酵素の役割の分子生物学的・生化学的解析を、細胞レベルおよび担がんモデルマウスで実証してきた。また、(2)当該酵素に対する阻害剤の薬効を細胞・動物レベルで検証したきた。さらに、(3)阻害剤に対する感受性および抵抗性を規定する遺伝子群の同定・検証を進めてきた。(1)については強固なデータを持って実証できているが、(2)(3)でやるべき課題が残っていたため最終年度ではこれらに取り組んだ。まず(2)においては、代謝安定性および抗がん作用の改良を目指して新たにデザインした類縁体が、実際に強い抗がん作用を発揮することを、細胞レベルで実証した。(3)については、前年度までに同定した遺伝子群のうち、特に重要と思われる2つの機能未知の遺伝子について重点的に膠芽腫における役割を解析したところ、転写制御に関連する因子群のひとつであると推定された因子について、実際に腫瘍幹細胞性が減弱することを確認した。また、細胞内アミノ酸代謝に関連する因子群の構成要素と思われる因子について、同じく腫瘍幹細胞性の維持に必須であることを確認した。これらの知見は、本研究で標的とするtRNA修飾酵素が確かに膠芽腫に対する創薬標的として適していることを示しており、その阻害剤開発が膠芽腫に対する将来の制がん戦略の構築に寄与しうることを強く示唆するものである。加えて、本研究課題を通してその分子生物学的な動態の一端が解明された2つの機能未知の遺伝子について、今後さらに解析進めることで、膠芽腫以外のがん種に対しても同様の事象を司っている可能性を検証する必要がある。
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