2022 Fiscal Year Annual Research Report
肺小細胞がんにおけるプリン塩基サルベージ経路を介した細胞増殖制御機構の解明
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20K07627
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
牧野嶋 秀樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (30510573)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺小細胞がん / 核酸生合成経路 / プリン塩基 / サルベージ経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト小細胞肺がん組織の解析結果から、プリン関連代謝産物が小細胞肺がん組織に高いレベルで含有され、サルベージ経路(再利用経路路)を介して核酸が再利用され、核酸が盛んに生合成されることが小細胞肺がんの速い細胞増殖を可能にする、と考え研究を遂行した。本研究では、肺小細胞がんにおけるプリン塩基サルベージ経路を介した細胞増殖制御機構を解明する目的で研究を推進した。3年計画の最終年であった。HPRT1遺伝子を欠失した複数の小細胞肺がん細胞株(HPRT1 KO)を新たに作製し、野生株(WT)と表現型をそれらの細胞株を用いて、新規合成経路と再利用経路の利用割合を同位体を用いて解析した。その結果、HPRT1の基質であるヒポキサンチンが存在する場合には再利用経路を主に使用し、再利用経路が利用できない場合には新規生合成経路を利用していることが明らかになった。さらに、免疫不全のマウス皮下に小細胞がん細胞を移植し、in vivoの腫瘍進展におけるHPRT1の機能を解析した。HPRT1 KO のin vitro の肺小細胞がん細胞株および皮下移植したゼノグラフト腫瘍のメタボローム解析を行い、核酸関連代謝産物のプロファイルを新たに追加した細胞株で構築した。 本研究では、小細胞肺がんの核酸生合成におけるプリン塩基サルベージ経路を介した細胞増殖制御機構を解明できた。プリン核酸の新規合成経路と再利用経路を制御しているメカニズムが不明であり、新しい核酸生合成制御機構の存在が示唆された。現在、上記研究成果をまとめた論文を投稿中である。
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Research Products
(1 results)