2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of glycoproteins in tumor spheres
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20K07629
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
大川 祐樹 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 糖鎖オンコロジー部研究員 (40723896)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / スフェロイド / N型糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がんのスフェロイド形成におけるFetuin-A(α-HS-glycoprotein)およびその糖鎖の機能と、細胞外グルコース濃度変化に誘導されるFetuin-AのN型糖鎖構造変化のメカニズムの解明をめざしている。特にN型糖鎖構造として、MGAT3遺伝子にコードされる糖転移酵素GnT-IIIによって形成されるバイセクト型糖鎖に着目し、研究を進めた。 複数のヒトがん細胞株において、MGAT3遺伝子を強制発現させるとバイセクト型糖鎖の発現増加および細胞増殖能の亢進を観察した。また、Fetuin-Aの糖鎖構造をレクチンを用いた pull down アッセイで解析し、Fetuin-Aに付加するバイセクト型糖鎖の半定量解析を行った。Fetuin-Aの分子機能を明らかにするために、Fetuin-Aノックアウト細胞を樹立し解析したところ、Fetuin-Aノックアウト細胞ではコントロール細胞に比べ、細胞増殖能の低下、酸化ストレスへの抵抗性の低下を観察した。また、ヒト肺がん細胞株におけるバイセクト型糖鎖は、ヒトマクロファージ細胞株と共培養することにより、発現誘導されることを明らかにした。 これらの結果より、がん細胞におけるバイセクト型糖鎖は、マクロファージとの相互作用により発現誘導され、特にFetuin-Aに付加しているバイセクト型糖鎖が、がんの悪性形質を増強することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実験より、バイセクト型糖鎖およびFetuin-Aのがん悪性形質への寄与が明らかになった。これらは、本研究課題の目標達成に対する十分な基礎的データとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
がんの悪性形質およびスフェロイドの形成にかかるFetuin-Aおよびバイセクト型糖鎖のより詳細な分子機能を明らかにするために、Fetuin-Aの受容体およびシグナル伝達経路を解明する。またFetuin-Aの糖鎖構造を、質量分析にて詳細に明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で実験に使用する消耗品等の納品が大幅に遅延したため。 次年度、納品され次第、計画通りに実験を遂行する予定である。
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Research Products
(11 results)