2022 Fiscal Year Annual Research Report
IL-18阻害抗体をもちいた新規膵がん治療法の開発
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20K07635
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加美野 宏樹 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (00625692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IL-18 / Pancreatic cancer |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-18は炎症性サイトカインの一つであり、タンパク質分解酵素Caspase-1/4等で切断され、活性型IL-18 (cleaved IL-18, cIL-18)となり機能する。IL-18は膵がんをはじめ複数のがん患者血清中やがん組織内での高値が報告されているが、その発生機序やがんへの影響については不明な点が多い。本研究課題ではわれわれが作製したcIL-18特異的抗体を利用して、膵がんの診断や治療への応用について検討してきた。 ヒト膵がん細胞株を利用した担がんモデルマウスを使ってIL-18阻害抗体による治療実験を計画していたが、ヒトcIL-18がマウスIL-18受容体と反応しないことが明らかとなった。そこで新規にマウスcIL-18に対する特異的抗体の作製を試み、阻害抗体の作製に成功した(論文として報告)。さらにマウスIL-18発現膵がん細胞株を新しく樹立し、担がんマウスモデルを作製した。阻害抗体による治療実験をおこなったが、阻害抗体の単独投与による腫瘍抑制効果は観察できなかった。 一方、抗がん剤フルオロウラシルを添加したヒト膵がん細胞株MIA PaCa-2でのcIL-18誘導メカニズムの一端について明らかにした。学会での報告とともに、現在論文投稿準備を進めている。また研究課題の一つであるcIL-18免疫組織化学染色については、約40例の膵がん組織でほとんど染色が認められなかった。ただし、膵頭細胞に特異的な発現を確認した。膵頭細胞におけるcIL-18の特異的な発現の意義については今後の検討課題である。 また、ヒトcIL-18抗体を利用したELISAの改良を進め、血清中のcIL-18をpg/mL単位で検出可能なシステムの構築に成功した。今後膵がんをはじめとした様々ながん患者血清でのcIL-18測定をおこない、IL-18とがんとの関係性について明らかにしていきたい。
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