2021 Fiscal Year Research-status Report
固形腫瘍の腫瘍微小環境改善を目指した複合的遺伝子改変T細胞療法の開発
Project/Area Number |
20K07641
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10643546)
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (40453104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CAR-T細胞 / 免疫疲弊 / 神経芽腫 / 腫瘍微小環境 / 遺伝子改変T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
固形腫瘍に対する遺伝子改変キメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T cell; CAR-T)療法の効果と安全性と向上させるためには、1) memory T細胞の性質をもつCAR-T細胞の作成、2) 腫瘍微小環境から受ける免疫抑制機構によるCAR-T細胞機能不全の抑制、3) Off target効果出現時に対応可能なセーフガードシステムを開発し、併用していくことが必須であると考えられている。本研究では、CAR-T細胞療法において、免疫抑制的な腫瘍微小環境におけるCAR-T細胞の免疫疲弊を防ぎ、CAR-T細胞療法の効果を向上させる事が可能な併用療法の可能性について検討を行った。 例として、我々が開発したGD2特異的CAR-T細胞(GD2-CAR-T細胞)を用いた。GD2陽性神経芽腫細胞に対して、GD2-CAR-T細胞を作用させると、抗腫瘍効果を認めるが、同時にCAR-T細胞上に免疫疲弊マーカーであるPD-1が誘導された。Raf/MEK阻害剤であるTrametinib存在下で神経芽腫細胞とGD2-CAR-T細胞を共培養したところ、抗腫瘍効果は減弱するもののPD-1誘導は抑制された。また、TrametinibはGD2-CAR-T細胞の増殖には影響を与えなかった。 一方で、神経芽腫担がんマウスを用い た検討では、GD2-CAR-T細胞単独投与群に対して、Trametinib+GD2-CAR-T細胞併用群では相乗的な抗腫瘍効果を認めた。この相乗効果は、腫瘍細胞のRaf/MAPK経路関連遺伝子異常の有無に関わらず認められた。以上の結果より、Trametinibは担がんマウス内でCAR-T細胞の過剰な活性化と疲弊を抑制し、相乗的にCAR-T細胞の抗腫瘍効果を高めている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TrametinibとGD2-CAR-T細胞の相乗的な効果について証明することができ、本成果を学術誌に論文発表することができた。(Tomida A, Yagyu S, et al. Cancer Sci. 2021)
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Strategy for Future Research Activity |
Trametinib以外の併用候補薬とGD2-CAR-T細胞の併用効果を証明する。 さらには、神経芽腫以外の腫瘍における、分子標的薬とCAR-T細胞療法の併用効果を検討する。具体的には、神経芽腫細胞に対する、ALK阻害剤であるAlectinibとGD2-CAR-T細胞の併用効果、急性Bリンパ性白血病に対する、JAK2阻害剤とCD19-CAR-T細胞の併用効果を検討している。
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Research Products
(12 results)