2022 Fiscal Year Annual Research Report
固形腫瘍の腫瘍微小環境改善を目指した複合的遺伝子改変T細胞療法の開発
Project/Area Number |
20K07641
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10643546)
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (40453104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CAR-T細胞 / 免疫疲弊 / 神経芽腫 / 腫瘍微小環境 / 遺伝子改変T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
固形腫瘍に対する遺伝子改変キメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T cell; CAR-T)療法の効果と安全性と向上させる手段として、腫瘍微小環境から受ける免疫抑制機構によるCAR-T細胞機能不全の抑制が必要であると考えられている。本研究では、CAR-T細胞療法において、免疫抑制的な腫瘍微小環境におけるCAR-T細胞の免疫疲弊を防ぎ、CAR-T細胞療法の効果を向上させる事が可能な分子標的薬の探索と、併用療法の可能性について検討を行った。例として、我々が開発したGD2特異的CAR-T細胞(GD2-CAR-T細胞)を用いた。GD2陽性神経芽腫細胞に対して、GD2-CAR-T細胞を作用させると、抗腫瘍効果を認めるが、同時にCAR-T細胞上に免疫疲弊マーカーであるPD-1が誘導された。Raf/MEK阻害剤であるTrametinib存在下で神経芽腫細胞とGD2-CAR-T細胞を共培養したところ、抗腫瘍効果は減弱するもののPD-1誘導は抑制され た。また、TrametinibはGD2-CAR-T細胞の増殖には影響を与えなかった。 一方で、神経芽腫担がんマウスを用いた検討では、GD2-CAR-T細胞単独投与群に対して、Trametinib+GD2-CAR-T細胞併用群では相乗的な抗腫瘍効果を認めた。この相乗効果は、腫瘍細胞のRaf/MAPK経路関連遺伝子異常の有無に関わらず認められた。以上の結果より、Trametinibは担がんマウス内でCAR-T細胞の過剰な活性化と疲弊を抑制し、相乗的にCAR-T細胞の抗腫瘍効果を高めている可能性が示唆された。この知見を応用し、ALK変異神経芽腫に対して、ALK阻害剤であるAlectinibとGD2-CAR-T細胞との併用効果についても検証を進めている。
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Research Products
(14 results)