2020 Fiscal Year Annual Research Report
がん悪性化における腎癌部由来エクソソーム特異的分子の機能解明
Project/Area Number |
20K07647
|
Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
大西 なおみ 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, 研究員 (50507217)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | エクソソーム / 腎癌 / CA9 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は外科的に切除された新鮮腎癌組織が分泌するエクソソームを特殊培養下で増幅し直接回収する手法を開発し、その網羅的定量プロテオーム解析から腎癌組織由来エクソソームにおいて特異的な発現を認めるタンパク質CA9を同定した。CA9は腎癌組織においても高発現する癌関連抗原として知られ、特にCA9高発現群は低発現群と比較して、再発率、全生存期間の両面で著しく予後不良となることが報告されているが 、その分子メカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、腎癌細胞中CA9および腎がん細胞由来エクソソーム中のCA9が腎癌悪性化に及ぼす影響を分子生物学的に明らかにすることを目指し本研究計画を立案した。 まず、CA9は正常腎組織には全く発現しないが、ヒト体内においては正常消化管上皮組織に内因性の発現が認められる。消化管上皮においてCA9は生理的に低酸素条件下でHIF1分子依存的に発現誘導されることが知られている。しかし、申請者の検討により、腎癌組織におけるCA9の発現誘導はHIF1誘導に非依存的であり、HIF1を介さない新しいCA9の発現機構が存在する知見を得た。そこでまず、CA9強制発現ベクターおよび発現抑制ベクターを作製し、内因性のCA9発現量が異なる様々な腎癌細胞株に導入することで腎癌組織中のCA9量や発現を制御する上流分子パスウェイの解析を進めた。 次に、CA9はCAドメインを介して細胞外のCO2を水和し、細胞外pHを酸性側に調節することが知られ、癌環境の酸性化は上皮細胞にEMTを誘導し癌の浸潤や転移の促進に寄与することがよく知られている。そこで本研究では腎癌細胞のEMT誘導に着目し、外科的に切除された新 鮮腎癌組織片とCA9強制発現ベクターを導入したCAF細胞を共培養し、腎癌細胞にEMTが誘導されるか否かをE-cadherinの発現低下ならびにSNAILの発現上昇等を指標として解析を行った。
|