2020 Fiscal Year Research-status Report
患者由来がんモデルを用いた肝細胞癌に対するFABP5を標的にした新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K07650
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
横尾 英樹 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70399947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 直徒 旭川医科大学, 医学部, 特任教授 (00231598)
高橋 裕之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10516503)
近藤 格 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (30284061)
萩原 正弘 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40749694)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / FABP5 / 阻害剤 / 患者由来がんモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的、方法】 我々は、肝細胞癌組織におけるFABP5の高発現が肝細胞癌術後の長期予後に影響を及ぼすことや、in vitroでの実験により、肝細胞癌細胞株におけるFABP5の高発現は上皮間葉転換を促進し、浸潤・転移能を獲得すること、さらに肝細胞癌の増殖能力とも関連している可能性があることを報告してきた。本研究では、実臨床の環境に近い肝細胞癌の患者由来がんモデルでFABP5阻害剤を使って腫瘍増殖、浸潤、転移を抑制できるのか、その際の分子レベルでの変化は何が起きているのかを明らかにすることである。そのためまずFABP阻害剤が有効に作用するかどうかを検討することとした。 【結果】 FABP5高発現細胞株であるLi-7 HLEからタンパク質を抽出しWBで発現していることを確認した。FABP阻害剤を使って2種の細胞株に対してMTTアッセイを行ったところ増殖抑制効果が得られ、阻害剤の有効性を確認することが出来た。 【今後の計画】 FABP5高発現細胞株のSCIDマウス皮下注モデル、転移モデルの作成とFABP阻害薬の効果の検討と患者由来がんモデルの作成とFABP5阻害剤の効果検討を行っていく予定である。本研究は肝細胞癌のFABP5阻害薬が肝細胞癌治療薬として候補になるのか、さらに微小環境におけるFABP5を中心とした脂肪酸結合・輸送タンパクの機能解明を主眼としており、この研究により、FABP5のみならず肝細胞癌に対する脂肪酸の関与する新たな治療ターゲットを構築できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの流行により実験の進行が遅れたことがあげられる。実験は予想通りの結果が得られてきているので今後の展開に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
《令和2年度に行う予定であった実験》 Li-7, HLEにFABP5阻害剤を入れ migration assay, invasion assayを行い阻害剤の効果を確認する。また、BODIPY標識脂肪酸を含んだ培地で培養した後、Fatty acid uptake assay施行し、FABP5の細胞内への脂肪酸取り込み能を評価する。FABP5阻害剤使用後の細胞株からタンパク質を抽出し、VEGFやSnailの発現状況をWBで確認
《今後の実験》 FABP5高発現細胞株のSCIDマウス皮下注モデル、転移モデルの作成とFABP阻害薬の効果の検討 ① Li-7,HLEにpGL4.50 vector(発光)をtransfectionし培養② マウス皮下注モデル、肝転移モデルの作成③ SBFI-26 1mg/kgを25日間、1日おきに投与する。コントロールとしてPBSを投与する。④ 腫瘍量をIVIS imaging systemにて1週間ごとに測定し、FABP5阻害剤投与群とコントロール群で比較する。旭川医科大学肝胆膵・移植外科で切除された肝細胞癌切除検体組織を国立がん研究センターに送り、患者由来がんモデル(PDX)を作成する。切除検体は病理プレパラート作成と一部凍結標本として保存し、免疫染色やWBでFABP5の発現をチェックしておく。
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Causes of Carryover |
研究計画が遅れていることに起因する。今後、細胞株の購入やマウスの購入、パソコンの購入などに使用するため予定の支出額に到達すると思われる。
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