2021 Fiscal Year Research-status Report
包括的1細胞遺伝子解析技術の肝細胞腺腫の早期診断へ適用
Project/Area Number |
20K07653
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩淵 禎弘 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 助教 (80597922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 政夫 金沢大学, 保健学系, 教授 (00272980)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肝細胞腺腫 / 包括的1細胞遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞腺腫(HCA)は良性腫瘍であるが、肝細胞癌(HCC)と判別が難しく、その10%程度はHCCヘ移行するた、その詳細なメカニズムは不明である。昨年度までに1症例のシングルセル解析とパラフィン固定された2例のHCA症例のバルクRNA-seq解析などから、PLA2G2AおよびAPOA4がHCAで顕著に認められることを確認した。 本年度も金沢大学および和歌山県立医科大学でHCA症例の適格がなかったが、発見した当たらな遺伝子がHCA亜型候補となるかを確認するため、過去のHCA症例、3例のnon B non C HCC、2例のHBV-HCC、1例のHCV-HCC症例のスライドを用いて、PLA2G2Aタンパク質の免疫染色を中心に評価した。PLA2G2AはHBV-HCCでシングルセル、タンパク質共に陽性であり、直近の論文でもHBV由来肝炎にPLA2G2Aの発現が高いことが報告された。従って、背景肝としてHBV非感染で、HCAとHCCの見分けがつかない病理組織では、PLA2G2A染色陽性であればHCAの新しい亜型として定義できることがわかった。またHCA特異的なマクロファージの同定として、APOA4とCD68二重染色を実施して、HCC由来のマクロファージとは異なることを見出した。これはHCA組織微小環境における包括的1細胞遺伝子解析による細胞集団の同定が新しい亜型判定に利用できる可能性を示唆している。 またバルクRNA-seq解析から新たに遺伝子Xを発見し、この遺伝子XはHCCで極端に低下することがわかり、正常組織、HCA組織では遺伝子Xは発現が高く、HCC組織で発現が低下することは、新しいHCAとしてのマーカーとなり得ると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たなHCA症例の適格例が本学および金沢大学ではコロナ禍の影響もあり、エントリーがなかったが、今後も引き続き外科、病理学教室と連絡を取りながら状況判断する。新鮮な組織由来の包括的1細胞遺伝子解析が実施できない点で当初の計画よりも遅れているが、論文化を進めている最中であるため、順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
HCA症例として新規に1例でも包括的1細胞遺伝子解析が実施できれば、これまで得られている遺伝子候補の再現性、妥 当性が改めて検証できるため、今後も積極的にエントリーして頂けるよう、連携を重要視する。また新たに発見した遺伝子Xに関する免疫染色などを実施し、HCAからHCCヘ移行するメカニズムに関与しているか、他の臨床検体などを用いて評価する。PLA2G2Aが当たらなHCA亜型遺伝子候補であることを中心とした論文化を進めて投稿する。
|
Research Products
(2 results)