2022 Fiscal Year Annual Research Report
包括的1細胞遺伝子解析技術の肝細胞腺腫の早期診断へ適用
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20K07653
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩淵 禎弘 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 助教 (80597922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 政夫 金沢大学, 保健学系, 教授 (00272980)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝細胞腺腫 / 1細胞遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞腺腫(Hepatocellular Adenoma: HCA)はまれな良性腫瘍であり、近年は脂肪肝や糖尿病からも発症するケースが認められている。HCAから肝細胞がん(Hepatocellular Carcinoma: HCC)への移行は統計学的に4.7-10%であり、そのメカニズムは不明な点が多い。HCC切除後の組織の一部にはHCAが含まれていることもある。1細胞遺伝子解析法は、臨床の場においてもバイオマーカーの探索と治療効果への解析に有用であることが報告されている。この1細胞遺伝子レベルの解析でHCAとHCCを比較検討した研究はなく、また肝細胞のみならず腫瘍微小環境内に存在する血球系細胞や腫瘍に浸潤するマクロファージなどの相違を把握できれば、HCAからHCCへ移行するメカニズムの解明と新たなバイオマーカーの探索さらには治療効果の判断に役立つと考えて本研究課題を立ち上げた。 本研究期間において、3症例のnon-B non-C HCCおよび1例のHCA臨床症例に対して詳細な解析を実施した。その結果、従来のHCA診断に利用されている肝細胞内SAA、CRP高発現とは別に、明らかにHCAでのみ発現が高いPhospholipase A2 group IIA (PLA2G2A)、Apolopoprotein A4 (APOA4)などの遺伝子が同定された。HCA手術検体の入手は難しいため、過去にHCA症例として手術されたFFPEサンプルよりRNAを抽出し、バルクRNA-seqによりそれらの遺伝子発現量が高いことも確認した。 本研究課題を通じて新たなHCAの亜型の存在および微小環境内のHCAからHCC移行に関与する遺伝子候補が同定された。定性的な免疫染色結果に加えて生検から精度と質が劇的に向上する1細胞遺伝子解析は、今後の治療の診断に有用であると改めて考えられた。
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Research Products
(1 results)