2021 Fiscal Year Research-status Report
多発鋸歯状病変の分子病態解明と大腸がん高リスク患者のサーベイランス体系の構築
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20K07662
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
原田 拓 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60468030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 英一郎 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (60567915)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸がん / エピゲノム / ヒストン修飾 / DNAメチル化 / エンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
内視鏡的に切除した新鮮なCIMP陽性の大腸多発性鋸歯状腺腫2例の腫瘍部および背景正常大腸粘膜から、細胞を抽出し、ホルマリン固定した上で、抗ヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)抗体、ならびに抗H3K27me3抗体を用いてクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-seq)を行った。また対照群としてCIMP陰性の大腸腫瘍2例の腫瘍部よび正常背景粘膜を対照として、同様にH3K4me3とH3K27me3のChIP-seqを行った。また腫瘍部のDNAメチル化をInfinium BeachChipにより解析した。これらのデータを統合して解析した結果、腫瘍部におけるDNAメチル化とH3K27me3との間に高い相関を認めた。逆にDNAメチル化とH3K4me3は逆相関を示した。またCIMP陽性腫瘍の背景粘膜のH3K27me3もまた、腫瘍部のDNAメチル化と相関を示した。この傾向はThe Cancer Genome Atlasデータベースに登録された大腸がんのDNAメチル化データからも確認された。その中から我々は、TXL2とGABRA4に着目した。これらの遺伝子はCIMP陽性腫瘍において高頻度にDNAメチル化し、かつCIMP陽性腫瘍の背景粘膜においてH3K27me3の上昇を示した。 次に我々はエンハンサー領域のDNAメチル化を解析した。ENCODEに登録された大腸がん細胞株HCT116のヒストンH3リジン27アセチル化(H3K27ac)を指標にエンハンサー領域を同定し、多発性鋸歯状腺腫のDNAメチル化データと統合した結果、FGF19遺伝子に存在するエンハンサー領域候補においてDNAメチル化の上昇を認めた。この領域のメチル化はBRAF変異陽性、MSI陽性の大腸がんにおいても高頻度に認めたことから、腫瘍リスクに関わる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸臨床検体の採取、ヒストン修飾解析、DNAメチル化解析を予定通り遂行した。網羅的ヒストン修飾解析、網羅的DNAメチル化を行った。これらの結果を、パブリックなデータベースと統合解析し、候補遺伝子の絞り込みを行った。候補遺伝子について、臨床検体でのDNAメチル化、ヒストン修飾の検証を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体の収集と、エピゲノム解析を継続する。また同定した候補遺伝子のDNAメチル化、ヒストン修飾と臨床病理学的因子との相関を解析する。同定した候補遺伝子の機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた学会出張が、全てリモートによる参加となったため、旅費を使用しなかった。また実験の大半を自分で行う事ができたため、人件費の支出がなかった。次年度は、学会出張ならびに、実験補助員の謝金として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)