2021 Fiscal Year Research-status Report
食道癌マルチオミックスデータを用いた術前化学療法耐性機序の解明
Project/Area Number |
20K07664
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川久保 博文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (20286496)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 諭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30594725)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
外科的切除可能進行食道癌に対して、術前化学療法と手術を組み合わせた集学的治療の開発が進んでいる。食道癌に対しては、術前化学療法の奏効が最大の予後規定因子であることを踏まえ、その奏効率向上が望まれている。本課題では、臨床検体における網羅的解析と、in vitroドラッグスクリーニングによる新規治療開発を目的としている。 臨床検体を用いた薬剤耐性に関与する遺伝子、機序を明らかにするため、網羅的解析として食道癌に対して術前化学療法を施行した患者へのRNAシーケンスを行った。結果として術前化学療法不応例において、有意に間葉系細胞関連のGene signatureが上昇していた。 また、臨床検体で得られた結果を検証することを目的とし、薬剤耐性食道癌耐性株を樹立した。今後既存の1200種類の薬剤ライブラリーをもちいて、スクリーニングを行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外科的切除可能進行食道癌に対して、術前3剤併用化学療法の優越性検証を目的としたランダム化比較試験の結果が2022年1月に報告された。これにより、ドセタキセル、5-FU、シスプラチン(DCF)による3剤併用化学療法後の手術が本邦における標準治療なった。
しかしながら、その奏効不良例の予後が著しく不良であることを踏まえ、同薬剤の耐性機序と克服に焦点をあてて研究を継続している。
当初の予定通り、DCF療法耐性株の作成は終了し、1200薬剤を用いたスクリーニングを開始している。約半分の工程が終了し、薬剤耐性株に有効な薬剤が同定されてきている。薬剤耐性株を複数種の食道癌細胞株において樹立しており、今後複数の株において共通して奏効する薬剤を選定して検証していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、複数細胞株横断的な奏効薬を見出し、選定を進める予定である。その後、薬剤の作用機序の解明を通して、治療標的となりうるメカニズムを解明していく。
|
Causes of Carryover |
薬剤耐性株を対象としたRNAシーケンスが2022年度の実施となったため、資金が繰り越しとなった。2022年度に網羅的解析を追加し、予算を執行する。
|