2022 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌肝転移オルガノイドと単細胞解析を用いた微小環境改変に伴う治療抵抗機序の解明
Project/Area Number |
20K07677
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40611281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水元 一博 国際医療福祉大学, 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部, 教授 (90253418) [Withdrawn]
池永 直樹 九州大学, 大学病院, 助教 (90759755)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / オルガノイド / scRNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における大腸癌罹患率および死亡率は年々増加傾向にあり、切除後の補助化学療法を行っても再発する例や、再発後に切除を目指し化学療法を行っても制御困難となり致死的経過を辿る例は依然として多く、その素因として肝転移腫瘍の化学療法への抵抗性獲得があげられる。そのため、大腸癌転移性肝腫瘍の化学療法抵抗機序の解明は、それを打破する新規治療法や個別化治療の開発において社会的要求度・貢献度が非常に高い。近年、高度なheterogeneityを有する腫瘍内微小環境の機能的解析を行うツールとして、組織を単細胞レベルまで分離し遺伝子発現解析を行うシングルセルRNA発現解析(scRNA-seq)が盛んに行われるようになっている。本研究の目的は、当研究室で行ってきた腫瘍オルガノイド作成の技術とシングルセル解析技術を組み合わせて大腸癌転移巣のheterogeneityを明らかにし、再発や治療抵抗性に関わるこれまで同定されていない機能を有する細胞集団を特定することである。 本年度は、オルガノイド樹立に向けて手技の確立を目指していたが、肝転移巣のオルガノイド樹立には至っていない。大腸癌を含む消化器癌のscRNA-seqのためのライブラリーの作成は100症例を超えており、大腸癌については、様々な免疫細胞やfibroblastのheterogeneityを明らかにし、得られた亜集団の分化の流れを知るために疑似系譜解析を行い、細胞間相互作用についての解析を行った。大腸癌発癌過程については免疫微小環境の変化を明らかにしつつあるが、今後肝転移を促進する微小環境の変化についても解析を行う。また、食道扁平上皮癌に対する術前化学療法が微小環境の及ぼす影響についても研究を行っており、同様に化学療法が大腸癌、大腸癌肝転移の免疫微小環境に及ぼす影響について解析した。
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