2021 Fiscal Year Research-status Report
CD19発現型AdVとCD19 CAR-T細胞を組み合わせた遺伝子細胞治療戦略
Project/Area Number |
20K07679
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10643546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (40453104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性アデノウイルス / CAR-T / CD19 / 横紋筋肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】近年血液腫瘍においてCD19を標的とするキメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法の高い奏効率が報告されているが、固形腫瘍に対して十分な臨床効果を示した報告は未だない。本研究では腫瘍溶解性アデノウイルス(OAd)を遺伝子改変する技術と、CAR-T細胞療法開発技術を用いて、多彩な固形腫瘍に対して既存のCD19 CAR-T細胞による治療を可能とすることを目的とする。 【方法】 ①CD19安定発現横紋筋肉腫細胞株(CD19-Rh30)の作製。②CD19-Rh30とCD19 CAR-Tの共培養。③CD19発現型-RMS特異的OAd(CD19-OAd)の開発。④CD19-OAdによる、CD19 CAR-Tの抗腫瘍効果の検証 【成果】 ①CD19-RMSの作製:pcDNA3.1発現ベクターを用いてCD19を発現するRMS細胞株(Rh30)を作製した。またpuromycinにてセレクションを行い、フローサイトメトリーによりCD19が発現していること確認した。②CD19-Rh30とCD19 CAR-Tの共培養:CD19-Rh30および、野生型のRh30とCD19 CAR-Tを共培養し、real timeanalyzerでRh30に対する抗腫瘍効果の評価を試みた。しかし、系が中々安定せず、後にCD19が安定して発現していないことが判明したため①のCD19-RMSの作製からやり直す必要が生じた。具体的にはpcDNA3.1発現ベクターの代わりにCD19を組み込んだトランスポゾンプラスミドをエレクトロポレーション法でRh30に導入した。これにより安定してCD19を発現するRh30を作成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本プロジェクトは令和2年度に新型コロナウイルスの影響を受け、遅れを取った。さらに今年度は2つの原因で計画に遅れが出た。 ①「研究実績の概要」でも述べたがCD19-RMSの作製において、CD19を安定発現させる点で、CD19-RMSの作製からやり直すことになったため、時間を要した。これに関しては、令和3年度内にCD19を組み込んだトランスポゾンプラスミドをエレクトロポレーション法でRh30に導入することで、安定してCD19を発現するRh30を作成することに成功しており、リカバー可能と考えている。 ②また、米国のラボから送ってもらったアデノウイルスのバックボーンプラスミドが上手くワークせず、ウイルス作製に支障が出た。一部コマーシャルベースのものに切り替えて対応試みている。どうしても必要なウイルスについてはカルタヘナ法をクリアした上で、米国から輸入することも選択肢に挙がっている。 いずれも遅れを取り戻すべく、全力を尽くす所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにCD19 CAR-Tを当研究室で安定して作成する技術は確立している。本年度は以下の流れで研究に取り組む: ①CD19-RMSの作製:CD19を組み込んだトランスポゾンプラスミドをエレクトロポレーション法でRh30に導入しCD19を発現するRMS細胞株(Rh30)を作製した。これはフローサイトメトリーによりCD19の発現を確認済である。②CD19-Rh30とCD19 CAR-Tの共培養:CD19-Rh30および、野生型のRh30とCD19 CAR-Tを共培養し、real timeanalyzerでRh30に対する抗腫瘍効果の評価を改めて試みる。③CD19-OAdの開発。MYOGプロモーター制御型OAdをもとに、E1geneの後にCD19をつないだコンストラクトをいくつか作製し、ウイルスとしてassemble可能か検証する。④CD19-OAdによる、CD19 CAR-Tの抗腫瘍効果の検証。ウイルスが作製でき次第、CAR-Tとの併用効果をin vitro, in vivoで検証する予定である。 コロナの流行など不確定な要素があるが、最終的にプロジェクトを遂行するため全力を尽くす。
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Causes of Carryover |
ウイルスバックボーンプラスミドが上手くワークせず、ウイルス作製自体が遅れた。そのため、2021年度はウイルスの増殖・精製に使用する試薬、消耗品、作成されたウイルスを用いたassay(binding assay, replication assay, cell killing assayなど)を実施することができなかった。assayを実際に行う2022年度以降に有効に資金を使用できるようにするため、「次年度使用額」が生じた。
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