2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification for oncogenic target and establishment of novel therapy for refractory leukemia or neuroblastoma
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20K07693
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
樋渡 光輝 帝京大学, 医学部, 講師 (40597126)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / ALK / チロシンキナーゼ / 阻害剤 / 機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経芽腫患者検体及び細胞株を用いて、マイクロアレイ、RNAシークエンスを行った。その結果、神経芽腫患者検体より新規TENM 3-ALK融合遺伝子を同定した。ALK関連融合遺伝子は悪性リンパ腫においてNPM -ALKが、非小細胞性肺がんにおいてEML 4-ALKが同定されており、その他にも、腎細胞がんなど他の癌種でもALK融合遺伝子は同定されており、腫瘍発生に重要な役割を持つと考えれている。これらの腫瘍のALK融合遺伝子は5’側に相手遺伝子、ALK側の切断点はexon 19-exon 20に固定されているのに対し、今回新規に見出されたTENM 3-ALK融合遺伝子のALKの切断点はexon 12であったので、この融合遺伝子が造腫瘍性に関わっているのかを検証する必要があった。TENM3-ALK融合遺伝子を組み込んだベクターを作成し、恒常的にこの融合タンパクを発現する細胞株を作成した。この細胞株を用いたタンパクの発現検討ではALK及びその下流のSTAT3, AKT, ERKの恒常的活性化を認め、細胞株の自律増殖能が示された。さらに免疫不全マウスに移植し移植後9日目には腫瘍が可視化でき、生体内でも腫瘍発生を確認した。このマウスに移植した腫瘍が300mm^3に発育したタイミングでALK阻害剤を投与したところ腫瘍は縮小し、ALK阻害剤の抗腫瘍効果が生体内で証明された。 今後の残された課題はTENM 3-ALK融合遺伝子の構造がこれまで報告されてきた癌種のものと違うことは、造腫瘍性に意味があるのか、つまりTENM3がALKに融合することによって造腫瘍性を起こすのかどうかの検討が必要である。また、TENM 3-ALK融合遺伝子を認めた細胞株にALK阻害剤は有効であったが、そのメカニズムは既報と同様なのかどうかの検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
融合しているTENM3の3’側の配列を削除したベクターを作成して、その発現タンパクを解析することによりTENM3-ALKのもつ自律増殖能に影響を与えているかどうかの検討がまだ完遂されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
①融合しているTENM3の3’側の配列つまりTENM3のexon 13以降を削除したベクターを作成して、その発現タンパクを解析することによりTENM3-ALKのもつ自律増殖能に影響を与えているかどうか ②融合しているALKの5’側の配列を削除した細胞株つまりALK exon1から11を削除したベクターを作成し、この発現タンパクを導入した細胞株を作成し、ALK恒常的活性化を示していることを確認した。現在、TENM 3-ALKが持つALKの恒常的活性化と比較して違いがあるのかを検討する。 ③他の ALK阻害剤になる候補がないか、450種類の低分子化合物ライブラリーを用いてTENM 3-ALK融合遺伝子を導入した細胞株で検討を行っている。
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Causes of Carryover |
研究完遂が2022年度終了に間に合わなかったため、1年間の延長を行った。 延長の1年間で本研究を完遂する結果ができる見込みです。
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Research Products
(3 results)