2020 Fiscal Year Research-status Report
EGFR肺癌における第3世代EGFR-TKI耐性へのIL-6の関与と克服の検討
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20K07697
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀田 勝幸 岡山大学, 大学病院, 教授 (70379816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | EGFR肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺がんに、EGFR遺伝子変異陽性の亜群が存在し、ゲフィチニブなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が臨床的に極めて有効であることが2000年代に示された。EGFR遺伝子変異とEGFR-TKIの組み合わせによる“precise medicine”を通じて、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(EGFR肺がん)は飛躍的な生存効果の改善をもたらした。昨今では、さらに最新世代のEGFR-TKIであるオシメルチニブの無増悪生存延長効果が示され、現在の標準治療と位置付けられている。しかし、これらEGFR-TKI投与によっても多くの患者では再発を逃れられず、その予後は未だ不良である。このEGFR-TKI耐性に腫瘍細胞IL-6発現亢進の関与が指摘されている。
わたしたちは先行研究として、ゲフィチニブ治療を受けたEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者52例を対象に、腫瘍IL-6発現状態別にEGFR-TKIの有効性を後方視的に検討し、以下を明らかにした:1)IL-6高発現群は全体の46%を占め、低発現群と比べて、無増悪生存期間の短縮傾向が認められた、2)同一患者群のプラチナ治療のPFS曲線は重なっていることから、IL-6発現状態はEGFR-TKIの治療効果予測因子である可能性、つまり、IL-6高発現群においてEGFR-TKI単剤治療による効果は不十分と考えた。
本研究では、①樹立した動物モデルでこの関連を確認する。②さらに臨床検体を用い、オシメルチニブの有効性と腫瘍細胞IL-6発現との関連について臨床的な検討を加える、をそれぞれ到達目標としている。②については、令和3年、関連研究グループの総会で同研究の趣旨を説明の上、研究への理解を促し、協力体制を固めることにつなげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画時には想定のなかったコロナ感染症拡大に伴い、対面で行う予定だった全体会議などの予定目途が立たなかったため、研究開始や着手が遅れた。今後スケジュール計画を適宜修正するなどして着実な進展を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画に沿って、上記のごとくIL-6発現状態とEGFR-TKIの治療効果との関係に検討を加え、総じて着実な進展を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた一理由として、初年度ということもあり、研究成果が学会発表の水準にまでは達しなかったことから、学会参加費などが発生しなかったことがあげられる。本年度は、年間の予定研究遂行に必要な費用を適正に使用して、業績に結び付ける所存である。
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