2022 Fiscal Year Research-status Report
EGFR肺癌における第3世代EGFR-TKI耐性へのIL-6の関与と克服の検討
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20K07697
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀田 勝幸 岡山大学, 大学病院, 教授 (70379816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EGFR-TKI / EGFR遺伝子変異陽性肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんは、総じて予後不良である。昨今、「EGFR遺伝子変異腫瘍に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)」といった 最適医療を通じて、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(EGFR変異陽性肺がん)は飛躍的な生存効果の改善をもたらした。EGFR-TKIには、ゲフィチニブなど旧世代の薬剤のみならず、最近では第3世代のオシメルチニブまで種々臨床応用されている。過去の研究からオシメルチニブの無増悪生存延長効果が示されており、同薬がEGFR変異陽性肺がんに対する現在の標準治療と位置付けられている。一方、これらEGFR-TKI投与によっても多くの患者では再発を逃れられず、その予後は未だ不良である。このEGFR-TKI耐性に腫瘍細胞IL-6発現亢進の関与が指摘されている。
本研究の前段となる基盤研究Cで、ゲフィチニブ治療を受けたEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者を対象に、腫瘍IL-6発現状態別に第1世代EGFR-TKIの有効性を後方視的に検討し、1)IL-6高発現群では、低発現群と比べて、無増悪生存期間の短縮がみられた、2)同一患者群のプラチナ治療の無増悪生存曲線は重なっていた。これらから、IL-6発現状態はEGFR-TKIの治療効果予測因子であり、IL-6高発現群においてEGFR-TKI単剤治療による効果は不十分であることが示唆された。
本研究では、EGFR遺伝子変異陽性の腫瘍細胞IL-6発現の違いがオシメチニブの有効性に影響を及ぼすかどうかについて臨床的な検討を加えることを目標とする。令和4年度、関連研究グループ総会で同研究の趣旨を複数回説明の上、研究への理解を促し、実施体制を確立し、役割分担などの討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画時には想定のなかったコロナ感染症拡大に伴い、対面で行う予定だった全体会議などの予定目途が立たず、研究進捗が遅れた。今後も計画修正などを通じて着実な遂行に結び付ける。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画を適宜修正の上、当該研究グループを基盤とし、IL-6発現状態の違いがオシメルチニブの治療効果にどう影響を与えるかについて、その関係に検討を加えていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症蔓延にて、関係各所との対面打ち合わせ等実施しなかったため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、次年度、分子生物学的解析に関わる技術員の臨時雇用や学会参加等の費用に充当する。
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