2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K07707
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
須藤 遙 常葉大学, 健康科学部, 准教授 (20372980)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 大腸がん / 微小管 / ケトン体 |
Outline of Annual Research Achievements |
該当年度では、一昨年度に引き続き計画の②に集中した実験を行った。また、①に関しても若干遂行した。培養細胞としては、昨年に引き続きラット線維芽細胞、ヒト線維芽細胞、ヒト大腸がん細胞に加え、正常ヒト大腸上皮細胞も使用した。前年度で10 mM以上の高濃度では、2種のケトン体が微小管アセチル化亢進作用を持つことをつきとめていたため、その亢進機序を調べる実験を行った。その結果、大腸がん細胞株の2つのケトン体それぞれによる処理は、ROSを生じ、AMPKの活性化に続きチュブリンアセチル化酵素であるATAT1の発現レベルを上昇させる点で共通性を示した。一方、βヒドロキシ酪酸では、HDAC3の抑制剤処理や、siRNAによるノックダウンによりその効果が減少したが、アセト酢酸ではそのような効果を認めなかった。ヒト線維芽細胞を利用した微小管切断感受性テストを行った。その結果、カタニンライク1では両ケトン体処理によって微小管切断が亢進し、これはチュブリンアセチル化に依存していた。さらに微小管アセチル化に伴い、特にヒト大腸がん細胞で、βヒドロキシ酪酸処理では、有意なACA陽性小核形成を認めた。初代培養正常ヒト大腸上皮細胞でも、この現象がおこることを確かめた。レスベラトロールは、HDAC3とは異なるチュブリン脱アセチル化酵素を活性化することが知られていた。そこで、レスベラトロールの小核形成に対する効果も調べ、上記小核形成を有意に抑制することが判明した。以上から、特に高濃度のケトン体は、染色体異数性に寄与し、大腸発がんに関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度に続く新型コロナウイルス感染症拡大のため、実験で用いる試薬、消耗品の確保に問題が生じ、計画通りに進まなくなることが多々あった。また、研究以外の業務に対してもコロナ禍の変化に対応するため、エフォートを一昨年度同様に上昇させる必要があったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
該当年度の研究結果において培養細胞レベルではケトン体の発がん効果が示唆されたが、さらに動物実験による確証が必要である。従って、計画には含まれていないが、マウス個体における、ケトン体による発がん促進の実験も1つの方向性である。
|
Causes of Carryover |
染色体解析に必要な解析装置および展開装置の購入に関しては、コロナ禍で、染色体解析に至るまでの基礎実験が遅れてしまい、その購入手続きが滞ってしまっている。さらに新たに必要性の生じた動物実験の受託研究費も考慮する必要性がある。どちらに比重を置くのかは、今後の実験データによって方向性を決定する予定である。
|
Research Products
(2 results)