2021 Fiscal Year Research-status Report
ミエリン形成の発光観察と操作によるアダルトミエリネーション仮説の検証
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20K07712
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石本 哲也 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (40397170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 宏謙 富山大学, 医学部, 技術専門職員 (00377342)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミエリン / 生体イメージング / 脳 / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
ミエリン形成がアダルト脳でも起きうるという、アダルトミエリネーション仮説が近年注目されている。この仮説によると神経活動などの刺激が、オリゴデンドロサイトの前駆細胞からの分化とミエリン形成を誘導し、神経細胞の伝達効率や栄養状態に影響を与えることが予想されている。しかし、脳のどの部位でいつアダルトミエリネーションが起きるのか、何がアダルトミエリネーションを誘導するのか、その実態はまだ詳細に解析されていない。我々はアダルトミエリネーション仮説が正しいか検証し、さらに詳細に解析することを計画した。そのために、オリゴデンドロサイトが成熟し、ミエリンを形成するときにだけ発現するBCAS1蛋白質に注目した。BCAS1プロモーター制御下でCreERT2とルシフェラーゼを発現するトランスジェニックマウスの作製を試みた。その結果、正しい遺伝子配列のトランスジェニックマウスが得られた。ルシフェリンをトランスジェニックマウスに注射すると頭部から発光が見られたので、アダルトミエリネーションが観察されたと考えられる。しかし、その発現は非常に低く、ウエスタンブロットなどでCreERT2とルシフェラーゼの発現が確認できなかった。ゆえにCreERT2が目論見通りオリゴデンドロサイトに発現しているか確認が取れない状況となった。そこで新たにCreERT2のみをBCAS1プロモーター制御下に発現させるようなトランスジェニックマウスの作製をこころみた。BACの相同組み換えを行い、BCAS1遺伝子座にCreERT2を挿入することに成功した。この組み換えBACを用いてトランスジェニックマウスを作製したところ正しい遺伝子配列を持つことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスジェニックマウスの作り直しを行ったため、計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
出来上がったトランスジェニックマウスの脳スライスを作製し、内在性BCAS1とCreERT2が共局在するか確かめる。具体的には、cre-loxp反応によって蛍光蛋白質であるtdTomatoが発現するトランスジェニックマウスと、今回作製したトランスジェニックマウスを交配し、タモキシフェン投与によってcre-loxp反応を誘導する。このマウス脳においてBCAS1とtdTomatoが共局在するか確かめる。
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Causes of Carryover |
トランスジェニックマウス作製が遅れたため、その後に予定していた実験が遂行できなかった。そのため予算があまり、次年度使用額が生じた。
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