2022 Fiscal Year Annual Research Report
神経発火パタンがつくる軌道構造による領野間通信機序の解明
Project/Area Number |
20K07716
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
栗川 知己 関西医科大学, 医学部, 助教 (20741333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 高史 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40567335)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リカレントニューラルネットワークモデル / 詳細局所神経回路モデル / 力学系理論 / 領野間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、研究計画に基づき、局所神経回路モデルとラットから取得したデータを用いることで、領野間の情報通信機構に関してデータ同化的なアプローチを行い、以下のように1.運動野と線条体の役割、2.複数領野のリカレントニューラルネットワーク(RNN)の短期記憶における役割、3.RNNのダイナミクスの学習性能への応用の成果を得ている。 1.これまでの研究から、大脳皮質二次運動野と背側線条体の神経活動が同期するラットほど行動選択の成績が良くなることが分かった。そこで、大脳皮質二次運動野―背側線条体の神経活動による情報符号化がダイナミックに変容する点に着目し、二領域を合わせた神経活動をテンソル分解により分析した。大脳皮質-線条体の神経回路活動パタンは、試行が進むにつれて特徴選択性(左右の選択を符号化する特徴)が増幅することがわかった。この結果から、大脳皮質-線条体の両領域の神経活動は符号化する情報を動的に増幅していく役割があることが示唆され、適応行動に貢献する可能性を示唆した。 2. ここでは二つのrate coding neuronからなるRNNを二つ、つないだネットワークモデルを構築し、Delayed matching to sample 課題を機械学習の方法により学習させた。その後、二つの領野の神経活動ダイナミクスを比較した。その結果、二つの領野の挙動はかなり類似していることがわかった。 3. また、本研究課題と関係した共同研究も開始することができた。これは、神経系の結合分布などを似せたネットワークの計算論的な役割に関する物で、特に対数正規分布とよばれる分布を導入することで、リザーバー学習のフレームの元、学習性能が強化されることを示すことができた。この結果は一つの領野にかんする研究であるが、この研究を延長することで本研究の領野間の計算機能・通信機序の解明につながると期待される。
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Research Products
(7 results)