2020 Fiscal Year Research-status Report
意思決定のための情報蓄積を担う神経回路の形態と神経活動へのNMDA受容体の関与
Project/Area Number |
20K07720
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石田 真帆 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80362086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇賀 貴紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50372933)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 意思決定 / ラット / 訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットに知覚意思決定課題訓練を行った。訓練では頭部固定されたラット前方左右に設置されたペダルを前肢で操作させる。知覚意思決定課題では、開始音によりラットに両ペダルを下げさせた状態で、左右のスピーカーから、右左で総数の異なるクリック音を約1秒間提示する。ラットにクリック音数の多い方を判断させ、終了音の後にクリック音数の多い方のスピーカーと同側のペダルを上げさせる。この時、左右のクリック音の総数は平均40回/秒に固定し、左右の比率を39:1~20:20の間の3~4種類に固定して変動させ難易度を設ける。2匹のラットについて、難易度に応じた正解率の増減を検出することができ、ラットがクリック音を知覚して意思決定していると考えられた。 当初、知覚意思決定課題の訓練が難航したため、ペダルの左右差を設けず、開始音後ランダムな間隔をおいて終了音を発し、終了音に反応してペダルを上げる反応時間課題を訓練した。終了音からペダル操作までの時間を反応時間として計測した結果、反応時間は約140ミリ秒であった。知覚意思決定課題の訓練が難航した原因に、ラットの訓練装置への頭部固定に関する問題があった。ラットを訓練装置に頭部固定する際は、報酬を得るため自発的に装置に近づいたところを固定する。この方法ではラットが頭部固定を嫌がり装置に近づくのを止めてしまうと固定が困難であった。そのためラットの頭部以下を布でくるみ保定し、装置に頭部固定を行う方法を考案した。これにより装置への固定操作が簡便になるとともに、一日に複数回頭部固定して訓練することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
知覚意思決定課題訓練を行い、難易度別の正解率を検出した。知覚意思決定課題が完成したかどうかは、今後頭頂葉において、意思決定に必要な情報蓄積に関わる神経活動を検出する必要がある。一方で、ラット脳における課題に関わる神経活動を可視化するため、神経細胞でカルシウムセンサー蛋白GCaMP6fを発現するトランスジェニックラットを購入し、繁殖を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット頭部を装置に固定する際、動物による自発的固定に代えて、布でラット頭部以下を保定する方法を採用した。これにより装置への固定操作が簡便になるとともに、一日に複数回頭部固定することが可能になった。これにより訓練の効率を上げることが期待できる。また、ラット脳における神経活動可視化のため、アデノ随伴ウイルスによるカルシウムセンサー蛋白遺伝子の遺伝子導入を予定しているが、内因性に神経細胞でカルシウムセンサー蛋白GCaMP6fを発現するトランスジェニックラットも利用していく予定である。
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Causes of Carryover |
16チャネル電極を用いた電気生理学的解析、マイクロマニピュレーターの購入に至らなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画に、マイクロマニピュレーター1,000,000円および16チャネル電極300,000円を含める予定である。
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