2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K07728
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
稲瀬 正彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80249961)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間認知 / 前頭連合野 / 運動前野 / 神経細胞活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、視覚刺激の時間知覚と運動待機中の時間再生の双方の時間計測過程を1試行に含有する課題を用いて、課題遂行中のサル大脳皮質前頭連合野や内側運動前野から神経細胞活動を記録し解析する。まず、これらの領域で時間知覚と時間再生に関わる神経機構について検討する。続いて、呈示する視覚刺激を変化させたり時間計測に影響を与える薬物を投与したりすることにより、主観的な時間を操作する。このとき、時間計測に関わる神経細胞活動が主観的な時間の変動に応じてどう変化するかを検討し、主観的な時間の神経機構を明らかにする。 初年度に、まず課題制御システムを整備した。課題では、まず動物がホールドボタンを押すと試行が開始し、1秒後にモニターに緑の四角(C1)が異なる持続時間で提示される。その後、1秒間の遅延期間をはさんで、モニターに赤の四角(C2)が提示される。動物が、C2の提示開始から、C1の提示時間に基づいて定められる待機期間が経過した後に、ホールドボタンを離して反応ボタンを押すと正しい試行となる。C1提示時間は0.8秒、1.6秒、3.2秒のいずれかとし、それぞれに対応するC2提示開始後の運動待機時間を、3.2~4.8秒、1.6~3.2秒、0.8~1.6秒と定めた。この課題では、視覚刺激C1の提示時間の計測と、C2提示開始後の運動待機期に内部に記憶した時間の再生とが要求される。続いて、2頭の動物の訓練を実施した。 本年度は、安定して課題を遂行できるようになった2頭の動物で、内側運動前野や前頭連合野から神経細胞活動を記録する実験を開始した。これまでのところ、内側運動前野では、運動待機期に漸増する活動が多く見出された。一方、前頭連合野背外側部では、刺激呈示期やその直後に一過性活動が多く見出された。刺激呈示直後の一過性活動にはその直前の刺激呈示時間を表象するものが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、安定して課題を遂行できるようになった2頭の動物で、内側運動前野や前頭連合野背外側部から神経細胞活動を記録する実験を開始した。神経細胞活動の解析は、課題関連活動、特に時間計測期間中の一過性活動や漸増活動の有無に着目して進めた。これまでのところ、内側運動前野では、運動待機期に漸増する活動が多く見出された。一方、前頭連合野背外側部では、刺激呈示期やその直後に一過性活動が多く見出された。刺激呈示直後の一過性活動にはその直前の刺激呈示時間を表象するものも見られた。これらの結果は、視覚刺激の時間知覚と運動待機中の時間再生とに関わる神経細胞群が異なることを示唆する。このように研究開始前に設定した問題点の解明に近づく結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2頭の動物の内側運動前野や前頭連合野からの神経細胞活動記録を継続する。神経細胞活動の解析は、課題関連活動、特に時間計測期間中の一過性活動や漸増活動の有無に着目して進める。その結果に基づいて、1)視覚刺激の時間知覚と運動待機中の時間再生に関わる神経細胞群は異なるのか、2)フィルタリング機構と漸増活動機構は、時間知覚と時間再生とで使い分けられているのか、また、3)前頭連合野と内側運動前野では時間計測過程に関わる神経細胞活動に違いがあるのか、などを検討し、4)時間知覚と時間再生の双方に関わる、時間情報処理の中核的な神経基盤はどこに存在するか、の問題を解決していく。 加えて、課題中に呈示する視覚刺激C1やC2の大きさなどのパラメーターを変化させることで主観的時間を操作し、その結果としてC2呈示後の待機時間がどのように変動するか、そのときに内側運動前野や前頭連合野の神経細胞活動がどう変化するかを検討する。それらの結果から主観的な時間の神経機構を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
為替の変動があり、論文投稿料が変動したため、研究費をわずかに持ち越すこととなった。新年度は持ち越し分を含めて、物品費として使用予定である。
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Research Products
(3 results)