2020 Fiscal Year Research-status Report
The impact of sharing attention on the social decision-making process
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20K07729
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
小池 耕彦 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (30540611)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | みつめあい / 共同注意 / 注意共有 / 磁気共鳴現象画像法 / 社会的意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、共同注意やみつめあいといった注意共有(視線を介して注意を他者と共有する共同作業)の神経基盤を検討してきた。これまでの研究は、右島皮質/下前頭回がみつめあい(Koike et al., 2019)や共同注意(Koike et al., 2020)の基盤であることを明らかにした。 しかし日常生活で注意共有が果たす役割を考えると、これまでの先行研究の手法では、その神経基盤の全貌を解明するのには大きな問題がある。それは、実験室環境では注意共有が課題におけるゴールになっていることに拠る。実社会では、同じものに注意を向けてコミュニケーションが終了することはありえず、むしろそれは、その後に続くより複雑なコミュニケーションの起始点に過ぎない。つまりこれまでの手法では、(1)みつめあいとその後に続く共同注意の関係、(2)共同注意がその後に続くコミュニケーションや社会的意思決定に与える影響を解明できない。 2020年度は、上記(1)を解明するために、二者同時記録MRIを用いた実験をおこなった。実験に際しては、生理学研究所のCOVID-19対応マニュアルに沿った形で、参加者に接触する可能性のある部分の消毒を十分におこなった。二者は別々のMRI装置に入るが、MRI対応カメラを介してビデオチャットのように相手の顔映像をリアルタイムで見ることができる。この状態で、共同注意課題をおこなう。一般的な共同注意課題とは異なり、本実験では、二者は視線をそらした状態から課題をスタートする。その後、画面上に呈示されるキューに従い、みつめあい→共同注意と注意共有の状態が進んでいく。ここで、みつめあいと共同注意を分離可能な実験デザインを組むことによって、連続して起こるこれら2種の注意共有の神経基盤を独立して描出することを可能としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響でやや遅れているものの、2020年度に予定していたみつめあい/共同注意実験については、予定している実験参加者数の7割程度までは脳機能画像計測を終えている。2020年度前半については、COVID-19への対策手法が確定していなかったため、被験者募集を控えていたが、現在は対応マニュアルに沿って平常に近い形で実験をおこなえている。地域単位もしくは機関レベルでの長期間でのロックダウンがおこなわれない限り、実験の継続は予定通り可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はすでに、みつめあい/共同注意課題について、実験参加者を募って実験を継続している。実験が完了次第、当初計画どおり、先行研究(Koike et al., 2020, SCAN)と同様の解析をおこない、先行研究の結果の再現および本申請研究の仮説の検討をおこなう。 解析と並行して、共同注意がその後の意思決定に与える影響を検討するための実験デザインを計画し、本年度中にMRI実験を開始する。
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Research Products
(5 results)