2021 Fiscal Year Research-status Report
覚醒制御における前脳基底部アセチルコリン神経細胞内の分子シグナル機構の解明
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20K07732
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹羽 康貴 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (40590071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前脳基底部 / Ntrk1 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの行動は外界からの情報や以前の経験によって常に左右される。ものを避けるといった瞬発的な行動から、寝不足や長時間の集中による頭の疲れなど、さまざまな時間幅での覚醒制御機構が予想される。そこで本研究では覚醒制御における時間~日レベルのゆっくりとした情報処理・応答が、覚醒を支える神経回路においてどのように実装されているのかを明らかにすることを目的とする。特に、覚醒制御に重要であることが知られている前脳基底部アセチルコリン神経に注目し、その細胞内分子シグナルを遺伝学的に操作することによって、睡眠覚醒行動に影響を与える分子シグナルを明らかにする。前年度は尾静脈からPHP.eB型のアデノ随伴ウイルス(AAV)を導入することを試みたが、感染効率が悪く、行動レベルの表現型も統計学的に有意ではなかった。そこで、今年度は脳定位固定装置を用いたキャピラリーインジェクションによるAAV導入の実験系の立ち上げを行った。最初にインクによるインジェクション箇所の条件決めを行なった。次に、前脳基底部アセチルコリン神経やその投射領域へ直接インジェクションを行った。具体的にはCre依存的に蛍光タンパク質の発現が誘導されるAAVを作製し、Ntrk1-IRES-Creマウスなどにキャピラリーインジェクションを行なった。2週間ほどの間をおき、灌流固定によって脳を固定した後、導入した遺伝子の発現を免疫組織化学によって確認した。インジェクションごとのばらつきはあるものの、概ね狙った場所に導入した遺伝子の発現を確認することができた。来年度は、前脳基底部アセチルコリン神経やその投射領域へ破傷風毒やNtrk1シグナル関連分子を乗せたAAVを直接インジェクションすることで、行動学的な変化が見られないかを検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前脳基底部アセチルコリン神経におけるNtrk1シグナル関連分子の過剰発現マウスを作製し検証するための予備実験として、アデノ随伴ウイルス(AAV)のキャピラリーインジェクションが可能な実験系を確立しできた。また、導入遺伝子の発現を免疫組織化学で確認する実験系を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度立ち上げたAAVのキャピラリーインジェクションを用いて、前脳基底部アセチルコリン神経やその投射領域に破傷風毒やNtrk1シグナル関連分子を導入することで、行動学的な変化が見られないかを検証していく。
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Causes of Carryover |
当該年度について、コロナ禍による学会・打ち合わせのオンライン化に伴い、旅費の支出の多くが不要となった。次年度では人件費に使用する予定である。
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