2022 Fiscal Year Research-status Report
Diagnosis and treatment of cortical blindness using medical games
Project/Area Number |
20K07734
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (40146163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 医療用ゲーム / 認知症 / 記憶障害 / 使用依存的可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
非血管性認知症における記憶障害は、主に神経変性によるものとされている。しかし、脳の損傷は通常、神経回路の使用依存的な神経回路変化によって補償されるため、記憶障害の原因の一部はこの補償機能が十分働いていないためである可能性がある。この可能性を検証するため、認知症被検者に記憶負荷を与え、人為的に記憶機能をフルに使用させたときの記憶力の変化を解析した。 この研究を行うため、継時的な記憶力の計測が可能な見本合わせテストのプログラムをVisual Basicを用いて自作した。インターネット上で公開されているピクトグラム(白黒の模式図)から5000枚の画像を選択し、これらを組み合わせることによって原理的に1.6×10の19乗通りもの記憶課題を生成できる。各課題では、まずランダムに選択された画像が被検者に提示された。次に、暗唱による作業記憶を防ぐための簡単な計算課題を10秒間被検者にやってもらった。この時、正答できた計算課題数は実行機能を示す指標として用いた。最後に、被検者は5つの異なる画像の中から計算課題をやる前に提示した画像を選択するよう求められた。60課題中、正しい選択ができたパーセンテージを、記憶力を示す視標として使用した。 軽度認知症の被検者は、2週間に4回記憶力を計測したところ、成績の有意な上昇を示した。中等度認知症の3人の被検者は、記憶力が上昇したが有意でない、記憶力が上昇しない、あるいはそもそも有意な記憶力がないなどの様々な結果を示した。正常高齢者の被検者は、良好な記憶力を示したが、計測中に記憶力が徐々に上昇する傾向は示さなかった。これらの結果は、軽度認知症の記憶力には、使用することによって変化する使用依存的伸縮域が備わっていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医療用ゲームによる皮質盲の解析を行い、更にこの技術を応用して認知症の記憶障害の解析を行い、一定の成果を挙げつつある。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で研究活動は制限を受け、進捗状況は予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は平成31年3月に新潟大学脳研究所システム脳生理学分野教授を定年退職した。定年後に臨床医としての訓練を開始し、現在は新潟大学精神科専門研修プログラムの精神科専攻医3年目である。本研究は定年前の経験を生かして医療用ゲームを開発し、定年後に遭遇する様々な疾患の研究に生かすことを目指して立案された。既にある程度の成果は出ているが、今後は現在の専門領域を活用し、統合失調症の認知機能障害等に解析対象を広げて研究を遂行していきたい。新型コロナウイルス感染症による遅れもあるので、最終年度には補助事業期間延長を申請し、本研究費を活用できる最大6年間の期間に渡って研究を遂行して行きたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、研究活動に支障が出たため次年度使用額が生じた。この分を有効に活用するため、最終年度に補助事業期間延長を申請し、本研究費の研究期間を5年から6年間に延長して研究を遂行して行きたい。
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Research Products
(2 results)