2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of the LRP1-mediated export of beta-amyloid from brain by molecular motor KIF13B
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20K07739
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
金井 克光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80214427)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞 / βアミロイド / アルツハイマー病 / カベオラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では単離脳毛細血管を用いて脳実質側からβアミロイドがどのように毛細血管壁を通って血中に放出されるのか、その機序を明らかにすることを目的とし ている。現在まで得られた結果は以下の通りである。 (1)単離脳毛細血管を用いた免疫蛍光染色実験では単離毛細血管が血液(IgG)を含むため、マウスモノクローナル抗体を用いた染色を考えるとマウス以外の動物、例えばラットを使う必要がある場面が想定される。そのためにラット脳から毛細血管を単離する条件を確立した。(2)毛細血管の内皮細胞の外表面が部分的にアストログリアやペリサイトに覆われていることが知られている。そのため、血管外部から投与したβアミロイドの内皮細胞への取り込みを観察するにあたり、内皮細胞の表面で、これらの細胞に覆われていない部分がどのぐらいあるかを 内皮細胞の表面マーカーであるレクチンを用いて調べた。3次元再構築した蛍光抗体像から、単離した毛細血管の表面にレクチンで染まる部分があることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(1)コロナ対策で授業や実習方式が大きく変わり、その対策・準備に時間が取られた。(2)コロナにより学生の登校が禁止され、実験に支障がでた。(3)本研究課題とは直接は関係ないものの、医学上非常に重要な発見(膵臓のβ細胞が血中のグルコース濃度を感知してインスリンを分泌するように、胃の壁細胞が血中トリグリ セライド濃度を感知してエストロゲンを出すことで血中トリグリセライドレベルを一定に保つ)をしたため、その研究および論文投稿準備に時間が取られた(現在 投稿中)。
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Strategy for Future Research Activity |
まず初めに各種抗体による単離脳毛細血管の蛍光染色条件を決める。その後、脳実質側からβアミロイドがどのように脳実質側から内皮細胞に取り込まれるかを調べるために、色素ラベルされたβアミロイドを単離脳毛細血管に投与してその動態を観察する。(1)内皮細胞マーカーであるレクチンを指標にβアミロイドが内皮細胞表面から取り込まれるかを観察する。(2)内皮細胞の表面から取り込まれたβアミロイドが LRP1-hDLG1-KIF13B-utrophin-カベオリン複合体によって取り込まれるのか、クラスリンの系によって取り込まれるのかをそれぞれの抗体を用いて調べる。(3)βアミロイドが LRP1-hDLG1-KIF13B-utrophin-カベオリン複合体によって取り込まれるのであれば KIF13B KO および野生型マウス脳から単離した脳毛細血管を用いてβアミロイドの取り込みを比較する。ただし、単離毛細血管を用いた血管外部からの物質取り込みを試みた先行研究がないため、本研究を進める過程で技術上の問題点が出てくる可能性は否定できない。現在想定している問題点として、内皮細胞を覆うグリア細胞やペリサイトがβアミロイドを取り込んだ場合、内皮細胞による取り込みと区別する必要が出てくる。対策としては内皮細胞マーカーであるレクチンが染まる部位を観察対象にすることでこの問題を回避しようと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナによる授業や実習方式の変更によって時間が取られ、学生が登校できずに研究に支障が出た。そのため、本来ならば昨年度行うはずであった蛍光ラベルされた βアミロイドや抗体を用いた実験を進めて行く予定であり、必要な動物や試薬の購入費用に充てる予定である。
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