2022 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の興奮・抑制を調節するBRINPタンパク質の機能の解明
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20K07748
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
小林 三和子 松山大学, 薬学部, 准教授 (30396329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 一郎 松山大学, 薬学部, 客員教員 (40157269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BRINP / 大脳皮質ニューロン / 精神疾患 / KOマウス / 神経軸索 |
Outline of Annual Research Achievements |
成体のBRINP1-およびBRINP3-KOマウスの前頭前皮質を含む大脳皮質よりタンパク質を抽出し,LC-MS/MSを用いたプロテオーム解析を行い野生型マウスとタンパク質プロファイルを比較した。3065種類のたんぱく質のうち,遺伝子KOにより発現が2倍以上または半分以下など大幅に変化するものはなかった。BRINP1-およびBRINP3-KOの両方でCaMKIIαの増加,ホスファターゼを阻害するProtein phosphatase 1 regulatory subunit 1の減少がみられ,Glu受容体刺激に伴うシグナルやシナプスの伝達が亢進している可能性が考えられた。BRINP1-KOでのみ発現が増加しているタンパク質として,樹状突起に豊富に含まれる微小管関連タンパク質MAP2,アクチン結合性タンパク質の非赤血球性スペクトリンα,βがあった。またBRINP1-KOで軸索再生時や成長円錐に多く発現するGAP43の発現増加が見られ,BRINP1-KOマウスの大脳皮質ニューロンにおいて軸索の成長・再生が亢進している可能性が考えられた。大脳皮質のGABA作動性介在ニューロンに発現するカルシウム結合タンパク質であるカルレチニンは,BRINP1-KOマウスで増加していたが,BRINP3-KOマウスでは減少していた。これまでにBRINP1-KOマウスの前頭前野でパルブアルブミンおよびソマトスタチン陽性のGABAニューロンの減少を明らかにしてきたが,カルレチニンニューロン数はBRINP1-KOマウスで増加,BRINP3-KOマウスでは減少している可能性が考えられた。mRNAおよびタンパク質発現の網羅的解析により,BRINP欠損マウスにおいてシナプス機能や軸索伸長に関わる遺伝子・タンパク質の発現が変化し,これらが欠損マウスのヒト精神疾患様行動異常の原因となっていることが考えられた。
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