2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉症モデルマーモセットによる臍帯血移植治療法の開発
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20K07752
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
一戸 紀孝 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 微細構造研究部, 部長 (00250598)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨髄 / 間葉系幹細胞 / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム症は対人関係が苦手で強いこだわりを持つ発達障害で、現在、44人に1人という高い罹患率を示す。我々はこれまでに抗てんかん薬のバルプロ酸を妊娠中の新世界ザルのコモンマーモセットに投与して生まれた仔を自閉症のモデル動物として作成し行動学的、神経組織学的、分子生物学的、電気生理学的に解析し、自閉症の霊長類モデル動物としての地位を確立してきた。この疾患の発症メカニズムは大変複雑で、これまでに根本的な病気の原因にアプローチした治療法はない。 近年、幹細胞を移植する治療法があらゆる疾患で提唱されてきている。自閉症などの発達障害においても臍帯血や骨髄に由来する造血幹細胞(Hematopoietic stem cells:HSCs)や間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSCs)を用いた幹細胞治療が根本的な治療法として前臨床的段階で報告され始めている。 本研究はHSCsまたはMSCsの移植を行い、マーモセットのバルプロ酸暴露自閉症の治療を試みるものである。マーモセットではHSCsやMSCsについての報告は少なく、殆ど無いに等しいので、本年度はまずは入手可能な骨髄の造血系細胞を分離し、フローサイトメトリー(FACS)解析を行い骨髄細胞の発現マーカーについて解析した。また、マーモセットでの幹細胞の特異的マーカーと思われる抗体とMagnetic cell sorting(MACS)を用いて幹細胞の純化を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定通り下記の結果を得た。(1)0日から4日令の新生コモンマーモセットの骨髄からは74~94%の高いviabilityで0.7~6.6x107個の細胞分離が可能であった。(2)分離したマーモセット骨髄細胞のFACS解析でヒトの造血幹細胞マーカーのCD34陽性細胞は検出困難で、かなり少数か存在しない可能性が示唆された。(3)マウスで多能性造血幹細胞マーカーの1つとされるCD117陽性細胞は新生マーモセット骨髄細胞のFACS解析で4.3~5.9%存在することがわかった。(4)CD117陽性細胞はMACSを用いて90%近くまでの純度で回収でき、繰り返すことにより純度を上げることが可能であった。(5)CD117陽生細胞はその増殖因子であるStem cell factor(SCF), Thrombopoietin(TPO), Fms like tyrosine kinase 3(Flt-3) の増殖因子の添加で増殖することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
マーモセットでの幹細胞についてのこれまでの報告はかなり少ないが、その中でコモンマーモセットではHSCsはCD117を発現しており、CD34は多能性には不可欠ではなく、CD117陽性細胞がすべてのHSC lineageを形成していると言われている。今後さらにこの点についても検討をする必要がある。
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Causes of Carryover |
CD117陽性細胞は新生マーモセット骨髄細胞のFACS解析で4.3~5.9%存在することがわかった。しかし、このCD117陽性細胞の特性を調べるために、他の幹細胞マーカーの検索が必要であった。しかし、コロナ等の影響で試薬の納入期が年度を超えてしまうことがわかったので、次年度の発注とすることとした。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Functional and molecular characterization of a non-human primate model of autism spectrum disorder shows similarity with the human disease2021
Author(s)
Satoshi Watanabe, Tohru Kurotani, Tomofumi Oga , Jun Noguchi, Risa Isoda, Akiko Nakagami,Kazuhisa Sakai, Keiko Nakagaki, Kayo Sumida, Kohei Hoshino , Koichi Saito, Izuru Miyawaki,Masayuki Sekiguchi, Keiji Wada, Takafumi Minamimoto & Noritaka Ichinohe
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Pages: 5388
DOI
Peer Reviewed
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