2021 Fiscal Year Research-status Report
舌痛症・アトピー性皮膚炎におけるADHD併存の病態解明と、新規薬物療法の開発
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20K07755
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠原 諭 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30773056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 香央里 東京歯科大学, 歯学部, 臨床講師 (70848647)
福田 謙一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80228907)
石氏 陽三 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20366199)
高橋 美和子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主幹研究員(任常) (00529183)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60401064)
松平 浩 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10302697)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / ADHD / 舌痛症 / アトピー性皮膚炎 / 脳血流SPECT / 発達障害 / 身体表現性障害 / 痒み |
Outline of Annual Research Achievements |
舌痛症患者については目標30症例のところ、現在20名の患者が東京歯科大学から東大病院麻酔科へ紹介され、各種痛み評価尺度やADHD尺度などの臨床評価を実施した。治療開始前の脳血流評価も実施したところ、大部分の症例で主として前頭葉領域を中心に大脳皮質の軽度~中等度の血流低下が認められた。 そして、治療が順調に進みADHD治療薬の投薬調整を完了した患者においては、治療後の脳血流評価と臨床評価を実施したところ、各種痛み評価尺度・ADHD尺度・脳血流の全てが並行して改善する傾向が見出された。これは本研究計画における仮説と整合する結果であり、これまで我々の研究以外に舌痛症がADHD治療薬で改善するという報告はなく、全く新しい薬物療法の開発と、その生理学的機序の解明に寄与する先駆的な研究結果になると考えられる。 また、脳血流SPECTを従来から広く用いられているROI(Region of Interest)法に加え、新たにディープラーニングを活用した解析方法の開発を進めており、治療開始前の脳血流低下パターンを数種類のタイプに分類できており、それらとADHD診断や薬物療法への反応性を予測するアルゴリズムの開発を進めている状況である。 また、舌痛症を含めた慢性疼痛の心理社会的要因を分析して有効な治療方針を出力する評価尺度のMultidimensional Pain Inventory(MPI)日本語版を作成し、その軽量心理学的特性を検証した論文が国際ジャーナルに掲載された。MPIは慢性疼痛領域で国際的に最も重要とされる尺度であり、ADHDが慢性疼痛を発症しやすい生物心理学的病態を解明するのに寄与する尺度のMPIが、我々の研究によって国内でも一般に利用可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯科医や皮膚科医が、通常診療の中で発達障害のスクリーニング尺度を実施・採点・解釈する際の時間的・労力的負担が少なからずあり、参加者のリクルートが計画より遅れているため。 また、当該診療科の診療の中で説明されることを患者が想定していない発達障害の傾向について、本人や同伴する家族に説明し、東大病院麻酔科への紹介・研究参加の同意を得ることが容易ではないことも参加者のリクルートで遅れを生じる理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の計画の遅れを取り戻せるよう、令和4年度は研究代表者が、研究分担者に対する支援をより充実させ、研究参加者のリクルートを促進する予定である。また、すでに臨床評価や治療が順調に進んでいるケースについては、症例報告などを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
文献収集や印刷費用、文房具、スクリーニング尺度の購入や、論文投稿英文校正費で余剰が出たため、次年度の同項目や論文投稿費用に充てる計画である。
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Research Products
(7 results)