2020 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系における小径軸索髄鞘化メカニズムの解明と関連疾患への応用を目指す研究
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20K07756
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 喜晴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30596565)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 髄鞘 / オリゴデンドロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系ではオリゴデンドロサイトによって大小様々な神経軸索が髄鞘化されており、その軸索径に応じて髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトのサブタイプ(I型~IV型)が異なることが知られている。さらに脱髄疾患や髄鞘タンパク質遺伝子の変異による疾患では、小径軸索がより脆弱であることが分かっている。小径軸索はI型・II型オリゴデンドロサイトによって髄鞘化されている。本研究では、小径軸索の髄鞘形成に必須の膜貫通型タンパク質 Teneurin-4(Ten-4)に着目して、オリゴデンドロサイトのサブタイプによる小径軸索髄鞘化のメカニズムを解明し、活性化制御分子を同定することを目的としている。当該年度は先ず、野生型マウスの脊髄白質組織でのI型・II型オリゴデンドロサイトの発生を調べ、生後7~11日後に、小径軸索が集中する脊髄後索の皮質脊髄路、薄束、前側索の内側に発生してくることが分かった。さらに、これらI型・II型オリゴデンドロサイトの発生はTen-4欠損マウスでは起こらないことが明らかとなった。これらの結果をまとめ、原著論文を発表するに至った(Hayashi et al, 2020, Sci Rep)。また、関連分野の論文報告とまとめて、総説としても報告した(Suzuki et al, 2020, BIO Clinica; Hayashi et al, 2021, BIO Clinica)。さらに、国内外の学会で成果報告を行った。次年度以降は、分子メカニズムの解明を目的として、解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、上記のように小径軸索の髄鞘化を司るI型・II型オリゴデンドロサイトの発生について、in vivoでの解析が進み、論文や学会発表するに至った。一方で、in vitroの解析は遅れを取っているため、次年度以降、in vitroの実験・解析を精力的に進め、分子メカニズム解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した通り、当該年度はin vivoでの解析が進み、論文発表や学会発表するに至ったのに対し、分子メカニズム解明を目的としたin vitroの解析は予定より遅れを取った。次年度以降、後者により注力して期間内での目的達成を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度は新型コロナウイルス問題によって、計画通りに実験を進めることが出来ず、それに伴い、その分の費用を次年度に繰り越すこととなった。繰り越した予算は、次年度以降にそれらの実験に費やし、期間内での目標達成を目指す。
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Research Products
(10 results)