2021 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系における小径軸索髄鞘化メカニズムの解明と関連疾患への応用を目指す研究
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20K07756
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 喜晴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30596565)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 髄鞘 / オリゴデンドロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系の髄鞘はオリゴデンドロサイトによって形成され、4種類存在する形態学的なsubpopulation(I型〜IV型)のうち、小径軸索はI型・II型オリゴデンドロサイトによって髄鞘化される。当研究室では、小径軸索の髄鞘形成において、膜貫通型タンパク質であるTeneurin-4(Ten-4)が必須であることを見出した。初年度である令和2年度は、Ten-4欠損マウスではI型・II型オリゴデンドロサイトが発生しないことを発見したが、そのシグナル経路の同定には至らなかった。当該年度は、Ten-4によって活性化されるシグナル経路を同定し、I型・II型オリゴデンドロサイトの発生に重要な分子の発見と、当初から予定しているI型・II型オリゴデンドロサイトの培養系の確立とそれを用いた解析を試みた。その結果、Ten-4は特にアクチン骨格制御関連分子と相互作用していることが明らかとなった。アクチン重合を促進する分子の他、脱重合を促進する分子とも相互作用していることがわかった。また、Ten-4欠損オリゴデンドロサイトは、髄鞘形成初期段階のアクチン重合が必要なステージから脱重合が必要なステージへと移行できないこともわかり、Ten-4がアクチン関連分子との相互作用を介して、重合ステージから脱重合ステージへのスイッチングを制御する分子であることが明らかとなった。いくつかのアクチン骨格制御分子に注目して、Ten-4との相互作用の分子メカニズムの解析を進行中である。I型・II型オリゴデンドロサイトの培養実験については、I型・II型オリゴデンドロサイトを生体外へと単離することでマーカー分子の発現パターンが変化することがわかり、培養系の確立には至らなかった。引き続き、条件の最適化を試みる。これらの成果の一部を第64回日本神経化学会、第44回日本分子生物学会、第6回日本ミエリン研究会発表会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、昨年度に予定通り進まなかったTen-4のシグナル解析・分子メカニズムの解析を進め、上述したように一定の成果が得られた。それらの成果の一部を関連学会で報告するにも至った。一方で、I型・II型オリゴデンドロサイトの培養実験については、予想外の結果から確立に至らなかった。次年度以降、同定された重要分子のin vitroの実験・解析を精力的に進め、最終目標である疾患モデルでの応用実験を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、当該年度はシグナル解析・メカニズム解析において、一定の成果が得られ、関連学会で成果の一部を報告するに至った。一方で、同定された分子を評価するためのI型・II型オリゴデンドロサイトの培養系の確立には至らなかったため、次年度以降は、その方法確立、あるいは、代替法による解析・評価を試みる。I型・II型オリゴデンドロサイトの活性化制御分子の同定と最終目標である疾患モデルでの解析・評価を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度は昨年度同様、新型コロナウイルス感染拡大によって、計画通りに実験を進めることが出来なかった。それに伴い、その分の費用を次年度に繰り越すこととなった。繰り越した予算は、次年度以降に予定した実験に費やし、期間内での目標達成を目指す。
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Research Products
(7 results)