2021 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学を用いた慢性の痒み成立機序へのヘモキニン-1の関与についての研究
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20K07760
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
船橋 英樹 宮崎大学, 医学部, 講師 (10404435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘモキニン-1 / 痒み / 光遺伝学 / 扁桃体 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性痒みモデルのマウスにおいて、不安とかゆみの悪循環の成立に焦点を当て、扁桃体を中心とした脳の働きとヘモキニン-1の関与を光遺伝学の技術を用いて評価する。パイロットスタディとして、①光遺伝学と扁桃体の実験系、②ヘモキニン-1と慢性の痒みとの実験系の二系統を行った。①についてはSociety for Neuroscienceでオンライン発表を行った(Role of PBN projecting CeA-pdyn amygdala neurons in nociception)が、扁桃体から傍小脳脚核の経路が痒みの調整を行い、プロダイノルフィンの経路を介して光遺伝学的活性化により痒みを抑制することを発見した。現在、論文投稿中である。②については髄液中のHK-1のアンタゴニストとして働く[D-Trp9]-[Leu11]-HK-1を準備し、1%DCP溶液を用いて成立させた接触皮膚炎マウスモデルおよびダニ抗原により成立させたアトピー性皮膚炎マウスモデルの髄腔内に投与したところ、いずれもひっかき行動を減少させた(現在、論文作成中である)。①からは痒みと扁桃体・傍小脳脚の関連が明確となり、②からは慢性のかゆみの成立にヘモキニン-1の関与が示唆される結果であった。これらを基に、次年度はHK-1ノックダウンマウスにおいて、光遺伝学で扁桃体の制御を行い、慢性の痒みにおけるヘモキニン1-1と扁桃体を中心とした脳機能の関係性を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光遺伝学の導入前の、パイロットスタディに時間がかかっている。光遺伝学に関する器材は準備できており、現在の手持ちのデータの解析が終え次第、取り掛かる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画は明確であり、器材はある程度そろっている。これまでのパイロットスタディの結果を早急に分析し、ペプチドなどの薬液の至適濃度、光遺伝学で用いるウイルスの至適温度・濃度を確定させることを第一の仕事とする。受容体をノックダウンする方法であるタンパク毒素サポリンを使用経験は有している。ビデオ撮影やMicroActなどの自動測定器を用いて、臨床の合間でもデータを収集できるように工夫する予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画が進捗せず、ペプチドやサポリン毒素など比較的新鮮な状態で入手したい物質の購入が遅れているため。
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Research Products
(2 results)